霧島連山のふもと、都城市には、剣道の稽古などに使う木刀の製造会社が4社あり、全国の9割を生産している。しかしその主な材料が連山に広がる広葉樹木から摂取したイチイガシやシラカシ、アカガシである。「現代の名工」にも選ばれた社長の荒牧保雄氏は、「同じ一本の木でも、場所によって硬さや重さ、つやが違う。同じ木刀は2本とない」と話す。このため、50種類のカンナを使い分けている。そのカンナを見せてもらった。木と接する面にどれも修理の跡がある。聞けば「硬くてねばり強い木を削っていると、かんながすり減ってしまう」のだという。「何度も直して使っていて古いモノは50年は使っている」というから驚きである。カシの木は削り出す前の状態で、屋外で1年以上自然乾燥させ、水分を18%含んだ状態が木刀に最適だという。荒牧武道具木工所1921年の創業。荒牧さんで3代目だ。創業の数年前、福岡県内で木刀職人をしていた祖父の和三さんが、最良の木材を探し求めた結果、霧島連山周辺で取れるカシにほれ込み、移り住んだのが始まりである。現在同社には9人の職人がおり、年間約2万7千本を生産している。10年ほど前まではカシについてはすべて連山周辺の木材を使っていたが、二酸化炭素を吸収する広葉樹林を保護する取り組みが広がり、現在はほかの地域のカシも使うようになったという。
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