森へ行く日
高田宏 著
マインドカルチャーセンター /1100
自然の懐に入る喜びを綴った優しさあふれる
紀行・エッセイなど・・・珠玉の作品集
日本列島はアジアの国々のなかでは四季折々に彩られた
自然環境の中に埋もれた国です。
春は雪の中から生命の息吹が聞こえ、初夏に若葉が芳香をちりばめ、
秋にはここぞとばかりに紅葉が咲き誇り、冬は静かな眠りに就きます。
まるで人々の一日の生活そのもののように思えます。
今、あふれるばかりの造られた物に恵まれた私たちは、
過ぎ去る時間を無駄にしないように必死に動いています。
それゆえに自然の恵みを忘れてしまい、自然とふれあう時間すら
忘れてしまってはいないでしょうか。
最近はアウトドアブームという事で「自然とのふれあいを大切に」と
叫ばれていますが、実際には人の言う事に流された物真似にしか思えません。
本当の自然とのふれあい方をどれだけの人が知っているのでしょうか。
日本語は日本の恵まれた環境の中から育まれた言葉です。
それすら横文字ばかりの日本語になりつつあります。
これが今の文化と言えば言えるのでしょうが、少しさびしい気がします。
しかし、こんな事を思うのは私だけではなく筆者も感じていると、
この本を見て安心し、また今の自分のリズムと比べて筆者のゆったり
した時間がうらやましく思えました。