森と人間の歴史
築地書館
ジャック・ウェストビー著
熊崎実 訳
2900円
1990年12月20日初版発行
ひとくち解説
m森の歴史は森林の破壊の歴史であり、それを材種別、歴史別、地域別にあるゆる方向から検証している。これを読むと、森林の破壊はすべて人間が原因であり、歴史の中で繰り返し繰り返し、取り返しのつかないほどの森林破壊と又森林破壊を誘導する政策を人間がとってきていることが分かる。又、すべての先進工業国がすべての第3世界の熱帯雨林産出国の森林破壊に加担しているところが、問題を簡単に解決できないようにしている。しかも先進工業国では森林蓄積量は管理され増加しているが、低開発国では森林の減少が土壌流失・砂漠化と飢餓を招き、それを助けようとする先進国の動きがさらに森林破壊に加担すると言う絶望的でさえある状況を招いている。この本は著者が感情にとらわれず、事実を積み上げ、あらゆる方向から森林と人間のかかわりの歴史を見ることによって我々の世界とこれからの世界を考えさせる本である。
中川博司
目次
m1 樹木について
1 人類が出現する以前の樹木
2 樹木の働き
3 木材について
4 その他の森林生産物
5 樹木のもたらす無形の便益
6 森林経営の可能性
2 民衆と森林
7 人類の起源と拡散
8 ローマ時代までのイギリス
9 古典時代の地中海地方の森林
10 ローマ時代以降のイギリスの森林
11 貧しき者の外套
12 ヨーロッパによる熱帯林への襲撃
13 森林科学の発展
3 世界の国ぐにの森林事情
14 世界の森林被覆
15 オーストラリア
16 ブラジル
17 英領インドとその後
18 中国
19 キューバ
20 インドネシア
21 ネパール
22 フィリピン
4 主要な森林問題
23 熱帯林
24 飢餓への道
25 豊かな国の森林
5 樹木を民衆のために
26 社会林業
27 アグロフォレストリー
28 人びとを林業に参加させる
29 林業援助
30 フォレスターと森林政策