森と人と環境
野口俊邦 著
新日本出版社 1700円+税
この本は7章から成り立ち、
森林、林業、環境問題、これらの問題を
「国民的・生存権的公共性」のレベルから解決していく
一助になればという著者の強い思いで書かれている。
ひとくち解説
森林と人類が共存する中で、過去から今日に至るまでの問題と改善策が国の開発政策・林業政策・木材貿易との関連を含め書かれている。その問題が環境という形で現れている。地球温暖化・大気汚染・海洋汚染・オゾン層の破壊・酸性雨・熱帯雨林破壊など、世界規模で環境問題が深刻化してきている。日本においては森林の手入れの不足のための森林劣化、生態系を無視したダムの建設やリゾート開発、国有林野事業解体の危機などである。改善策として国による一元管理か分割管理かに分かれるが分割管理となると3兆3000億円に達する赤字が問題となる。国による一元管理の場合、公共的機能の独自性を発揮させる国有林野事業が存続させることが出来る。また森を守る諸運動も大いに行うべきである。地球環境問題はグローバルな視点を持ち、その解決策は国内的・地域的な実践を通じてしか実現しえない。こうした地道な活動と成果がやがて世界的に評価され、真の国際貢献につながるだろう。
小西