木と日本の住まい
日本住宅木材技術センター
1200円+税
「木の家のよさを多くの人に知ってもらう本」をつくるべ
きという意見から誕生したものです。
三章から成り、第一章は「私と木の出会い」各界の著
名人が体験を通じて、木と住まいに寄せる想いを書い
ている。
第二章「木と住まい」では、木材、建築の専門家がそ
れぞれの分野から意見をのべている。
第三章「木の住まいと5つの誤解」では、これまで
木造住宅が受けてきた不当な評価について、第一線
の研究者たちがその反証をあげている。
「木の住まい」に関心をもってもらうにきっかけになる本
である。
木の住まいが分かる時
木造の家に住んでいるときには、木の良し悪しが
まず解る事がないように思う。
住んでいるときには、木の事を質問されてもまず
答える事は出来ないと思う。
なぜ木造の家が良いかと言うと鉄筋コンクリート
の家では室内と屋外との温度差があると室内の湿
気露となり壁につき、程度が低ければ湿ったとか、
もう少し進めばカビになり更に進めば、水びたし
になるという事になる。
木造ではコンクリートの家みたいなことは、あま
りない。木は生きていて呼吸しているからである。
室内の湿気が少なくなると木の中の湿気を吐き出
し、湿気が多くなると室内の水分を吸い込んでく
れるのです。
しかし、鉄筋コンクリートは燃えない。上の部屋
で火災が起こっても自分の部屋は、消化水で水び
たしになり、下の部屋で火災が起きると煙が上が
ってきてもしかしたら、延焼するかもしれない。
しかし、左右の家の火事なら延焼する事も水びた
しになることもまずないそういう所は鉄筋コンク
リートの長所だといえる。
それに比べると木材は燃料に使用するくらいだか
ら、燃えるのはあたりまえであるが、着火しやす
いかと言えばそうとも限らない。
法隆寺の金堂が火災にあって壁画がだめになった
が、金堂は、今でも立っている。
日本の鉄筋の歴史はそうふるくはないが日本の木
造の歴史は古く、千三百年の耐久性があることが
実証されているのです。木と日本の住まい
1私と木との出会い
[木と私①]木の表情―串田孫一
[木と私②]木のやさしさ―小野清子
[木と私③]木の香り―清水一
[木と私④]木の調べ―辻久子
[木と私⑤]木のぬくもり―永六輔
[木と私⑥]木の味わい―土井勝
[木と私⑦]木のいのち―西岡常一
[木と道具①]白木の器―水野正夫
[木と道具②]箸―岡部伊都子
[木と道具③]櫛―杉本苑子
[木と道具④]下駄―大島渚
[木と道具⑤]箪笥―坂東三津五郎
[木と道具⑥]民具―姫田忠義
[木と道具⑦]椅子―案野光雅
[木と住まい①]木の住まいがわかる時―伊藤ていじ
[木の住まい②]差し出がましくない家―高橋義孝
[木の住まい③]陰翳礼賛厠―谷崎潤一郎
[木の住まい④]和室のもつ魅力―入江徳郎
[木の住まい⑤]不安定の中の安定―会田雄次
[木の住まい⑥]人を包む―森本哲郎
[木の住まい⑦]日本のヘヤ―エドワード・S・モース
[木の住まい⑧]湿気を抜く知恵―樋口清之
[木の住まい⑨]自然と共にしたくらし―川添登