木と語る
共同通信社
1300円 238ページ
1989年10月8日第1刷
物言わぬ森や樹木と心で語り合い、
木で造られた建造物や身近な生活用品などとの対話を通じて、
木と日本人とのかかわりを追ってみようという企画を収録。
第1章 緑の列島
1 屋久杉・現代から太古への旅
2 亜熱帯の島・仁王立ちする異形の巨木
3 木曽ヒノキ・古式生きる伊勢遷宮用伐採
4 花の吉野山・修験道の神木、信仰の花
5 ブナの嘆き・進む伐採に保護運動
第2章 復権への試み
1 木のむらから・日本最大の木造体育館
2 ある民屋の再生・多彩な工芸の里の拠点に
3 木造校舎の実験・山あいに奏でる丸太の歌
4 大工の学校・棟りょう目指す若者たち
5 産直住宅・緑の森から緑の工場へ
第3章 音と遊びの世界
1 ピアノの調べ・楽器の王様は木の芸術品
2 駒と盤・小太刀さえる現代の名工
3 琴の音・竜と見まごうキリの木目
4 玩具の手触り・素肌の美しさが持ち味
5 バットの響き・選手に合う材料選びが生命
第4章 水のある風景
1 水車は回る・等身大の技術に託す夢
2 最後の清流・澄んだ水支える雑木林
3 魚つき保安林・サケを呼ぶ林守る
4 オオムラサキ・自然環境のバロメーター
5 砂と闘う・住民を守る黒松林
第5章 祭りと祈り
1 太鼓のとどろき・神を呼ぶ雷鳴の鼓動
2 神宿る森・安らぎと憩いの空間
3 円空仏・微笑に秘めるなぞ
4 巨樹と信仰・神宿る異形の大シイ
5 薪能・幽玄、幻想の世界
第6章 自然との共生
1 再生に挑む・よみがえる死の山
2 緑をこの手に・地下高騰と自然保全
3 花を追って・開発で失われる蜜源植物
4 消えゆく森林・ゴルフ場造成に揺れる村
5 原生林の教え・白神山地に刻まれる傷
第7章 森の恵み
1 漆・十六万本の植林団地
2 和紙の里・微妙な粘り、強さ、つや
3 シイタケの村・ホタ木に咲く”ナバの花”
4 よみがえる木炭・河川浄化などにも脚光
第8章 都市と緑
1 街路樹・中学生が育てたリンゴ並木
2 工場緑化・公害防止から景観演出へ
3 山と街ひとつに・公園、街路樹日本一の神戸
4 上野の森・江戸時代からの市民広場
第9章 手づくりの美
1 井波彫刻・神に感謝しつつ木を打つ
2 京指物・精妙で優雅な気品
3 竹細工・温泉客が支えた工芸
4 仙台たんす・堅ろう、重厚、しなやかさ
第10章 木に魅せられて
1 樹木の赤ひげ先生・触診、そして外科手術
2 照葉樹林を考える・真の自然保護運動求めて
3 森を育てる・女の腕で守り続けた山
4 造形の原点へ・原生林で自分を無に
第11章 森。木。いま。みらい
1 木を牛のえさに・山里の畜産振興目指す
2 自給率30%・来るか21世紀の国産材時代
3 山村留学・過疎化に山の知恵