木を見て森を知る
岡田喜秋著
1400円 210ページ
見慣れた木なのに
知らないことがたくさんある
四季の樹・木を訪れて
不思議いっぱいの発見の旅に出かけてみませんか!
作者は武蔵野にまだ多く林がのあった頃に幼少時代を過ごし、
青年期に信州の松本に暮らし、20代より自然を求めて旅をするようになる。
「私は森や林に飢えたとき、山を求めて旅に出る。」とも書いている一節からも
わかるように著者の旅は樹木に導かれている、そんな著者の紀行文である。
内容は、"樹木との対話"・"樹下で語る"・"異国の林間"の3章でまとめてられている。
それぞれ4~5ページの節に分かれており、また著者のイラストも挿入されているため、
読みやすくわかりやすい。私が好きな章は、外国の樹について書いている"異国の林間"
である。
樹々を求め著者は海外にも足を伸ばしている。著者の樹に関する知識欲は、
そこに住む人の話や、著者の観察から樹木の伸び上がるある異国の風景を
私たちにも与えてくれ、想像力をかきたててくれる。
"樹木との対話"・"樹下で語る"は国内の樹々が関東が中心である。
人の身勝手さ、そしてその中にも見える人間らしい思いを、この本の中で知らされた。
「樹を見て森を知る」とは"森を構成する樹木・・一本一本の実態を知らずして、
森全体を語る事ができない"とあとがきにもあるような意味を込めた名前である。
そして、そこに暮らしてきた人間の姿も見えてくるそんな気がした。
この本をガイドとして、旅に出るのもいいなと思わせてくれる1冊である。