伐って燃やせば森は守れる
田中敦夫 著
洋泉社 1600円+税
雑木林を守るには木を伐り続けるがいちばん!など
35の処方箋
日本の森林の未来はこんなにも明るい---
ひとくち解説
現在、様々な環境汚染が問題となっている。この本ではその内の
「温暖化防止対策」として森林の役割が説明されている。
(例 二酸化炭素削減率は原生林よりも雑木林、人工林の方が優
れているなど) しかし、原生林が役に立たないこともなく
(原生林にしか生息できない生物の存在など)、それぞれの優れて
いる点から重要性を説明しているのだ。また、新しいエネルギー
源としての木材の可能性も紹介されている。
環境問題など大きな事ばかりが説明されているわけではなく、
奈良公園の鹿が増加した背景として森林の減少、人の生活状況な
ども説明されている。また、今注目をあびている木炭の水質浄化
力、消臭。効率の良い方法など私たちの生活に身近な事柄も挙げ
られている。
この本は一見「タイトルも長く、内容も専門的で難しそう。」
と思ったが、文章がとても分かりやすい。専門用語もほとんど
使われていないので分からない単語も出てこないので、スムーズ
に読める。
内容の方は詳しく書かれているが、その事柄について一から説
明されているのでよく理解でき、頭の中でも整理しやすかった。
ページ数が多いと思われるかもしれないが、区切りが付けられる
構成なので、読みやすく時間もそれほどかからない。
「木について何も知らない」という方も気軽に読み終えられる
一冊だと思う。
武田京子
人間による生態系管理の必要性、人為的社会への啓告として、若者が自然への目覚め、自然保護に対し、今の世界は自然破壊を黙認してきた。戦後の日本で
は特に考えられるものと思います。戦後の日本においては焼野原で、ポプラ、アカシア、その他の樹木を植栽したと聞きます。それは何故ならば、少々の荒地でも平気であり、苗木は挿し木でも作れる、そのため日本古来の樹木に対し、安易に成長する樹木のみをとした時代もあったようですが、著者の言われる雑木林の必要性、次に雑木林が無くなり杉や桧の様な植樹木ばかりであれば、昆虫も鳥も、滅んでしまうのも事実です。
緑化と共に共存できる世界こそが、この本に対して思った内容です。