割り箸で森が救えるか?
①割り箸で緑が守れるとは思っていないが、使い捨ての無駄を続ける地球がどんなことになるか想像力の問題で、
もち箸運動を行っている。しかし一部では消費数だけを見て守れると考えている。
②年間消費数・・・242億膳 2F建て1軒屋にして1万戸分の木材量。内木材需要全体から見ると0.4%。割り箸のために年間241万本の樹木が伐採される。しかし建築用ならば高く売れる木材をわざわざ安い割り箸にすることは
ありえない。 つまり、一般用材には使えない端材・間伐材・小径木であり、どんなに集めても通常住宅は建たない。
そうすると木材の有効利用であるといえる。(業界側からの意見)
③割り箸は低利用木材活用のため考えられたアイディア商品。(発祥の地は吉野) 現在では端材・間伐材は手間
がかかりコストがかさみ大衆箸にはならず、高級箸だけとなっている。大衆箸は輸入箸におされぎみである。
この結果、外国の森まで浸食しているといわれている。
④国産の大衆箸のほとんどは北海道であり、工場での大量生産となり広葉樹から作られ、原木の丸太が用いられて
いる。これに対して当然批判の声がある。業者側からは、安い輸入箸の輸入をとめてくれればと・・・そうすると販売価
が高くなり、コストのかかる間伐材なども使用でき業者も助かる。消費者も無駄な使用を控える。また、割り箸工場に
は過疎地の産業に乏しい山地のくらしを支えているため、輸入箸とはりあわなければならないという現実問題がある。
⑤地球環境がとりあげられるようになってから、地球環境に対する危機感が割り箸問題となって現われたのである。
割り箸以外に木材資源を使用しているモノがたくさんあるにもかかわらず、割り箸だけが執拗に取りあげられるのは・・・
広告主・スポンサーの関係で、マスコミは他の商品を攻撃できないが、割り箸は零細企業だから・・・という見方まで
あるが、結局のところ使い捨て文化、使い捨てライフスタイルを地球環境を守るために考え直そうということである。
⑥都会で割り箸を批判している人たちでも自動車に乗り、化石燃料を燃やし大気を汚している。生活をしていれば、
なにかを自然から奪うことになる 。
⑦戦前にも割り箸追放運動があった資源の枯渇やエネルギー危機が問題になるたび必ず上がるのが割り箸問題
である。使わないことが、必ずしも森林・緑の保護に結びつくわけではない。
⑧健全な森林とは、雨を吸い川に流れ込む量を調整する働きがあり、枝葉が適度に重なりさしこ
む日光の強さを調整しながら、湿度や温度をうまくたもってる。
⑨間伐材がでるのは人工林に限られる。(植林した苗木をすべて育てるのではない)間伐をしなければ・・・枝葉が
重なり日光をさえぎる。根は充分に張らず、幹は太くならず、低潅木や下草をからす。積雪などで倒れたり、養分に
富んだ表土が流出する。風通しが悪くなり、病気害虫が発生しやすくなる。森林の荒廃が始まる。安い外材の輸入、
国産木材の値下がり、労働力の不足から充分な管理が行き届かず、下刈りや枝打ち、間伐が行われない森が増
えている。人工林では伐採時までに7割が間伐されなければならない。現在日本の森林の80%がほぼ壊れたまま
であるといえる。自然の保護、緑を守るなどというとき、育てるという発想をなくしがちである。
⑩割り箸の需要は増えているが、生産者は割り箸が売れないという矛盾がある。つまり、安い輸入割り箸が売れて
いるのである。この結果、国産材を使用していた業者も、安い外材を使用するようになる。しかし、インドネシアで
生産する割り箸はメルクシマツ(松ヤニをとるために植林されたもの)などは、松ヤニの採取期間後は伐採となり、
割り箸材として使用するまでは伐採後使い道がなく腐るにまかされていたのである。割り箸は、南洋材の伐採量
全体の0.03%である。この数字からみて割り箸が熱帯林を破壊しているとはいえない。
⑪熱帯地域からの輸出される木材の5割りが日本向けとなっている。用途はコンクリートパネル・ダンボール用
チップ・建材・家具・高級紙など商品価値ある木は1ヘクタールに数本、その数本の伐採のため、林道を開き貯
木場を作る。それは輸入数値に表れず多くの森林を破壊することになっている。木造建築になぜ外材を多く使用
するかは安いからだけでなく、商社が扱っているから宣伝がうまくエンドユーザーまでスムーズに届くような流通シス
テムができているからである。
⑫割り箸の再利用や間伐材などから、木炭・木酢液などをつくることが各地の地場産業としてされてきている。(OA
用紙はグングンと消費量がのびているがほとんどが再利用されていない)
⑬アメリカではハンバーグが日本の割り箸と同じ立場にある。日常大量に消費費するハンバーグを十分に供給する
ために、林を切り開き牧場をつくらなければならない。つまり、熱帯雨林を伐採する大きな原因になっている。
⑭割り箸追放よりも、遥かに効果的なのは紙の再利用や建築材の浪費を防ぐ、つまりリサイクルと長期使用などで
ある。
⑮森林に対して、一般的な考えは、山や森に対しては人間がまったく手を加えず、自然のまま放置しておくのが
森林保護に対する最善の方法。専門家の考えはまったくの原生林以外、人間との共存をはかる山(生活圏の
範囲にある山)の場合、一定のサイクルで山に手を入れ定期的に山の活性化をうながしていく方が、山の保護育
成につながる。森林・木材は再生産可能な資源であり、適切に管理するならば繰り返し生産しうる資源であり、
国土保全と生活環境を良好にする自然の恵みであって、それを管理・運営する林業が衰退することがあっては
ならない。樹木は伐採された時に第一の生を終えるが、建てものに使われると再び第二の生が始まって、その後
何百年も生き続ける力をもっている。世界最古の木造建築、法隆寺は1300年も経っているが強い生命力で生
き続けている。木材は強さとか堅さだけで比較すると他の材料に負けることがあっても、いろいろな性質を総合し
て考えると非常によい材料である。燃えても有毒ガスを出さず、不要になっても自然界に返すことができるのである。
結論として、使う・使わないの発想から森林を育てる使い方・暮らし方へと大きく発想が変わるときに、割り箸問題
は本当に実を結ぶにちがいないだろう。