序 木は人のおもかげ
樹齢二千年の桜から
心の視点で巨樹をとらえる
日本人にとって「木」とは
一老人のように
第1部 木の声
1章●「市井の仙人」 鳩山、八幡神社のイチイガシ
実篤の「新しき村」
まるで「市井の仙人」
2章●越後、虫川の大杉は現代の閻魔大王
風雪に耐えて一千年
大杉は村の宝
うしろ姿に野生が残る
厳しくも慈しみ深い自然
3章●天翔る楠の壮大なロマン
生きている古代神話
住吉大社と楠の木
船材—航海安全—太陽—三ツ星
4章●坂東霊場、大慈大悲の慈光寺の榧(かや)
修験道場の巨樹
聖地の七木、七井、七石
御仏の面影を宿す
5章●大椎は日蓮の声を聞いたか
巨樹と僧を物語る地
民衆とともに生きた日蓮
「法華経」こそが真の仏教と
日蓮を彷彿とさせる大椎
6章●会津、歴史を覗いた二本の大ケヤキ
再会した「高瀬の大木」
秀吉没して会津の地は・・・
「八幡のケヤキ」と英国女性
大ケヤキの下、参勤交代の道
7章●羽黒山の杉参道を整備した偉業
巨樹のなか、神に近づく
大和に通じる山岳信仰の聖地
世俗勢力の渦
天宥、三山中興の祖
仏の石の上、杉苗が育つ
第2部 人の心
1章●一期一会の木となった幻の「根上り松」
宇谷の連理根上り松
究極の舞台装置
一期一会の巨樹となった松
2章●木喰、刻印二百年の立木仏
いまも会える立木仏
仏像を刻み続けた生涯
彫り込まれた「耳の薬師様」
厳寒期に立木仏を彫る
自らを仏と成すために
巨樹の寿命を生きる仏
3章●古のときを想わせる、波崎の大タブ
艶やかで強い大タブの自然林
根もとにはお大師さま
「タブ」は「玉」「霊」か
4章●妙好人・因幡の源左と柿の木
生き仏とされた人
「ようこそ、ようこそ」
ふいっと分かったこと
庭の柿の実は仏さまの恵み
木は必ず応えてくれる
全国に「妙好人」が現れる
5章●小説家、有島武郎の最後を知っていた木
一枚の木のスケッチ
誕生、家族、友、信仰、旅・・・
「—さびしき我を見いでけるかも」
心模様を映す木の描写
6章●極楽浄土へ導く善光寺の回向柱
熱い信仰の地
哀切、親子地蔵の物語
極楽浄土へ導く供養塔
回向柱も成仏してゆく
7章●日本の祖霊と巨樹
霊魂観、祖霊信仰、原郷意識
「小池祭り」と赤松の存在
祖先の霊が宿る大楠
8章●木を迎え、木を送る
「あるべき様」に
聖なる「柱」
謎めいた神事
木の文明を開いた「柱」
鳥総立ての心意
草木供養塔
「古木」マップ