日本、買います 消えていく日本の国土
株式会社新潮社 平野秀樹 2012.9.30 1400円 20cm×14cm 207頁
序章 狼は一度やってきたらおしまいだ
小松左京の慧眼/氷山の一角/買い戻せない……/横たわる深い闇
第一章 幽霊地主
不明ベストテンの素性
幽霊地主を追う/登記簿にないから追えない
外資は公図買いする
国際投機集団 gambling speculator
手招きする人たち/国内法に則り占有しました/日本ルールなら可能でしょう
グローバル化の死角
外資は活性化の原動力です/公示送達も配達証明も通用しない
幽霊地主が豹変するとき
時計の針は戻せない……/土地売りは「輸出産業」です
第二章 不明という深い闇
大阪の九二%、東京の七九%は地籍なし
幸せな集団錯覚/眠る二億筆の地雷/地籍はなぜ不明のままか?
あなたの隣人が幽霊地主だったら……
最も精神的につらい時に/地籍がないのに銀行融資
「フェンス張られたけど……」
悲劇はこうして起きた――登記簿の闇/ここらは皆、こんなもんですよ/日向みかんと大たこ論争
懲りない不作為はつづく
前のめりの進捗率――地籍調査の闇/虚しい仕事――売買届出の闇/緩々で好き勝手――行為規制の闇/匿名化加速――ネットオークションの闇
なぜ徴税率は九割超なのか?
不納欠損処理の闇/外国まで追えません
寄るべのない土地
第三章 地図から日本が消える日
沖縄、売ります
青い目が去って黒い眼がくる/無人島も軍用地も販売中/本土の対応とは正反対/もう舵は切られている
消滅集落も買い占められていく
なぜ農地を買い進めるのか/興味があるのは水と土地だ
綻びはじめた国境
奄美の山求む!/五島列島開拓計画
極東の弾薬庫
重要国土の流出/基地の臍が……/無人島のルーツ/影絵の主たち
水際を手放していく日本
荒唐無稽な線引き論/パラセル・プロセス
[column] 幕末ガルトネル事件――寸土も外国人に渡さない
第四章 なぜアルプスもアイスランドも買えないのか?
国土の切り売りが阻止できた理由
ミコノス島/アルプス山頂/アイスランド/規制強化が世界トレンド
世界の土地売買事情
外国人でも買える国、買えない国/独仏はフリー?/国境・海岸部の外資規制
アメリカには「備え」がある
各州法/連邦法/国際法:GATS
日本だけが丸腰
済州島は買えない/山・海・島が同じ課題を抱えている/認識ある過失/せめて外国並みに
[column] banking(貯蓄)
第五章 消えていく日本の国土
グローバル化のその先――三つの盲点
利害の不一致/コミュニケーション不通/徴税できない
国土と銀行
開国TPP本格化の前に急ぐべきこと/すべての事象が国境を越えない/負の遺産を先送りしてはならない
日本を消さない
【政策提言】迎え入れる作法を整えよ
国家安全保障土地法/所有者不明土地対策法/条例等による地域ガバナンス力の強化
あとがき――羊の居場所