ウェスタン・レッド・シダー(学名:Thuja plicata ヒノキ科ネズコ属)
世界から産業用材として最もすばらしい木材を選び出すとすると、チーク、桧とこの「ウェスタン・レッド・シダー」ということになります。そして今、ようやく日本でも理解されてきた地球環境問題からの観点でひらにひとつ選び出すとすれば、ウェスタン・レッド・シダーが残ります。大きな理由は(後で記載)、現在も未来も確実に再生産が出来、経済的に採算が取れるのははこの木材しかないのです。ウェスタン・レッド・シダーは、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)一帯に産し、豊富な雨量や温暖な気象条件のもとで生育しています。樹木は普通、高さ60m以上、直径2m以上に生長します。 BC州の成熟林蓄積量、8億2400万m3の内、約80%は太平洋沿岸、残りは内陸部の湿潤地帯に生育しています。ウェスタン・レッド・シダーは、BC州の木材蓄積量の約10%で、同州の年間木材伐採量の10%を占めています。さらに重要な事は永続生産システムを早くから取り入れている BC州では、木材の伐採量は適切に管理されています。ウェスタン・レッド・シダーの伐採量は一年間に生長する量よりも、少ないか同量になるよう管理されています。それで将来とも安定した供給が約束されているのです。この木材の特徴を簡単にまとめますと昔からカナダ西海岸の先住民族に「生命の木」と呼ばれ、トーテムポールなどの丸太から、板、根までにも利用され広く生活に利用されてきました。カナダの針葉樹の中で最も長寿命の樹種の一つです。木材となってからの性質は細かい目の通った木目、油ヤニがなく、そして高耐久性です。また、断熱性にも優れ、軽いため取り扱いやすく、その上、加工のしやすさ、ねじれ、そり等が非常に少なく、他の木材とは比べようのない優秀な木材です。このウェスタン・レッド・シダーは、どのような用途にも合いますが、高級感やデザインを重視したい場合や、気候条件の厳しいところに最も推薦したい木材です。現在、あらゆるものに利用できるウェスタン・レッド・シダーは世界中で人気がでてきていますし、日本でもウッドデッキはその多くがウェスタン・レッド・シダーを利用しています。
生長の特徴ウェスタン・レッド・シダーからは、その樹木の特性から、まっすぐで美しい柾目や板目のある長尺材を入手できることが出来ます。また高密度な森林に生育したウェスタン・レッド・シダーは、樹木の下部が日陰になるため枝が落ち、ほぼ全にわたって節のない、無地の長尺な木材が得られます。
使いやすさ木目がまっすぐで、均一な材質であるウェスタン・レッド・シダーは、のこぎり、かんな、サンダー等 いずれの加工でも美しく仕上がる使いやすい木材です。
塗装仕上げ耐久性に優れているウェスタン・レッド・シダーは、仕上げ塗装をしないまま屋外に使用できます。耐久性をさらに高めたり、より美しさを維持するため(欠点の項参照)には、仕上げ塗装することをおすすめします。他の針葉樹よりヤニがなく寸法も安定しているウェスタン・レッド・シダーは、基本的にどのような塗料(ペイント、ステイン、オイル等)も使用することができます。節のある木材を外部に利用した場合は塗料にペイントを利用すると大変な目にあいます。ペイントを利用する場合は木材は無地(クリアー材)を利用してください。 ウェスタン・レッド・シダーに適している内装仕上げ用塗料は、ワックス、オイル、ラッカー、ニス、合成樹脂塗料等です。日本人の感覚ではニスやラツカーはウェスタン・レッド・シダーの美しさを引き出せません。
比重ウェスタン・レッド・シダーの比重は約0.368(含水率12%)と、針葉樹材の中では最も軽量に属します。含水率1%の変化に対して、重量は約3kg/m3変化します。世界の木材の常識では比重の軽いものほど腐りやすいのですが、このウェスタン・レッド・シダーは相い矛盾する性質を解決しています。ルーフデッキングとして使用する場合にも、ウェスタン・レッド・シダーなら軽量なので、屋根に加わる固定荷重が軽減され、支持材の数量も少なくできます。今後ビルの屋上などでの利用が増加すると思われます。また、運びやすく、扱いやすいことも軽量ならではの利点です。弊社で発売しているミニデッキの完成したものでも女性2人で運べます。またラフデッキでは男性大人 2人で動かすことができます。
寸法安定性木材に含まれる水分には、細胞空間に含まれる自由水と、細胞壁に吸収されている結合水とがあります。木材を乾燥すると、まず自由水が蒸発しますが収縮は起きません。さらに乾燥を続けると、今度は結合水が蒸発し、木材は収縮を始めます。すなわち、収縮の度合は、蒸発する結合水の量に比例しています。 他の木材と同じくウェスタン・レッド・シダーにも吸湿性がありますので、環境に合わせて水分を吸収したり発散させたりします。しかし、ウェスタン・レッド・シダーは他の針葉樹に比べて収縮率が極めて低く、反ったり、曲がったり、割れたりすることがありません。半径方向、接線方向への収縮率は別ページのとおりです。
熱伝導率木材には優れた断熱性があります。夏は建物を涼しく保ち、冬には暖房費を節約できるという点は、木材の大きな長所です。ちょっときついかも知れませんが、夏期の日射でも裸足で歩け、冬でも裸足で歩行できる素材は木材の中でもウェスタン・レッド・シダーだけと思われます。木材の断熱性は、その密度に左右されます。低密度物質は断熱性が優れていますが、これは細胞の空間が多くあるためです。乾燥木材の場合、この空隙に空気が入り、断熱性が高まります。 低密度で空気を多く含んでいるウェスタン・レッド・シダーの断熱性は、他の木材と比ベ、はるかに優れています。たとえば含水率12%の場合、熱伝導係数(K値)は、0.11W/m2℃です。
紫外線の吸収日本でも紫外線の問題がでてきています。西欧人の場合は皮膚ガン、日本人の場合は白内障などの原因にいる紫外線がオゾン層の破壊とともに日本でも深刻化してきました。産業用資材、特に住宅資材の中で木材がもっとも紫外線の吸収をします。学術データーはありませんが、私達の経験則から言えばウェスタン・レッド・シダーは木材の中でももっとも紫外線を吸収していると思われます。居間、リビングの外などでコンクリーの土間やプラスチックその他の産業資材を置いている住居にウェスタン・レッド・シダーのウツドデッキを設置しますと、従来より室内には紫外線が入りにくくなります。太陽からの外部地面からの反射がウェスタン・レッド・シダーによって吸収されるからです。
音響効果木材の特徴で音響効果がありますが、振動を吸収する性質です。木材には、微細な気孔が結合した細胞網があります。これは内部の摩擦と粘性に強く、木は細かい繊維を振動させて、音エネルギーを熱エネルギーに変換します。 こうした内部摩擦が極めて強いため、木材には他の建材よりも優れた吸音効果があります。したがって室内に木を適切に利用すれば、優れた音響効果が得られより経済的になります。音響効果の高いウェスタン・レッド・シダーは、特に音の大きさを制御したり、反響させたりするのに使用するとたいへん効果的です。
耐久性ウェスタン・レッド・シダーの最も大きな特徴は、優れた耐久性です。ウェスタン・レッド・シダーは、針葉樹の中でも最も耐久性があり、多くの環境条件のもとで長年使用できます。 ウェスタン・レッド・シダーの耐久性は、thujaplicinsと呼ばれる殺菌力のある成分と、thujic acidという防虫性能のある成分によるものです。直接地面と接するところに使う場合や、腐朽しやすい環境にウェスタン・レッド・シダーを長期間使用する場合には、適切な防腐処理を施すことをおすすめします。別リンクしかし通常の場合、ウェスタン・レッド・シダーは、屋外使用の場合でも、防腐処理をしないまま風雨にさらしても大丈夫です。
欠 点
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退色
色あせが早いこと
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どのような木材でも太陽からの紫外線で色があせてきますが、
このウエスタンレッドシダーは特に早く退色します。
保温性能が良いということは木が柔らかいということです。
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柔らかい
傷がつきやすい
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非常に柔らかい木ですので、暖かい感じがする反面、傷がつきます。
日本の杉と同程度と考えてよいでしょう。
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