ツバキ科ツバキ属(Camellia sinensis、カメリアシネンシス)は、葉、花、実などがツバキによく似ていることが特徴です。日本では「チャノキ(茶の木)」と呼ばれ、原産地はミャンマーのイラワディ川の源流地帯とされていますが、さらに北部のチベット山系にも生息しているという説もあります。チャノキは野生化することもあり、常緑の小高木です。805年、最澄が唐の大陸から薬用の目的でもって帰り、比叡山のふもとの坂本の里にまいたと言われています。1191年には栄西が種子を製法とともに宗から持ち帰り、広まりました。古くから幼葉を摘んで飲料として利用するために栽培されてきました。
チャノキはvar. sinensisとvar. assamicaの2つの品種に分けられます。幹は束生し、古枝は灰白色です。葉は互生し、長さは4〜10cmです。花は10月から12月にかけて2〜3cmの大きさで咲きます。花弁は5〜7枚で、白色の花が下向きに咲きます。チャノキは花柄に花をつけますが、ツバキは花柄がありません。実は翌年の秋に熟し、3つの種子があります。刈り込みに強いため、垣根などに利用されます。製茶用に栽培されますが、高さは約1m程度です。しかし、そのまま成長させると7〜8mになります。中国の雲南省巴達山には、高さ15mで樹齢1700年の野生の老木があり、「茶樹王」と呼ばれています。
茶は日本の生活や文化に溶け込んでおり、茶碗、茶の間、茶店、茶屋、茶道、歌などに関連しています。また、「お茶の子さいさい」「ちゃを濁す」「茶を碾く」「ヘソで茶を沸かす」「宇治は茶所、茶は政所」などの表現も生まれました。葉茶を臼で粉にする作業が暇な時に行われていたことから、客のつかない娼妓のことを「お茶挽き」とも呼びました。冬の季語にもなっています。
日本ではお茶は「色は静岡、香り宇治、味は狭山」と言われ、全国で栽培されています。緑茶にはタンニンが多く含まれています。タンニンは消化酵素の働きを抑制するため、食べた物の一部のカロリーが吸収されず、体外に排出されるため、緑茶を飲むと痩せる効果があります。また、タンニンは酵素の破壊を防ぎ、口腔をきれいにし、口臭を抑える作用もあります。緑茶にはビタミンCも多く含まれており、コーヒーよりも美容や健康に良いです。通常、ビタミンCは熱に弱いですが、お茶のビタミンCは熱に強く、熱湯を注いでも破壊されにくいのです。
お茶には、緑茶、紅茶、ウーロン茶などさまざまな種類がありますが、すべてはチャノキを基にしています。ただし、麦茶(大麦)、ルイボスティー(ルイボスの葉)、杜仲茶(杜仲の葉)はチャノキからではありません。
学名 | Camellia sinensi var. sinensis | Camellia sinensi var. assamica |
栽培地域 | 日本、中国などの温帯地域 | インド、スリランカ、インドネシア、クイーンズランド州の北部などの亜熱帯・熱帯地域 |
木の特徴 | 低木、寒さに強い | 高木(約10m)、寒さに弱く 発酵しやすい |
葉の特徴 | 葉が小さい | 葉が大きい |
幅3~4cm、長さ6~9cm | 幅4~5cm、長さ12~15cm | |
成分の特徴 | アミノ酸多い、カテキン 少ない | アミノ酸少ない、カテキン多い |
お茶の種類 | 緑茶、ウーロン茶 | 紅茶、プーアル茶 |
発酵度 | 発酵させない(不発酵茶 ) | 少し発酵させる(半発酵茶 ) | 完全に発酵させる(発酵茶 ) | 微生物で発酵させる(後発酵茶 ) |
種類 | 緑茶 | ウーロン茶 | 紅茶 | プーアル茶 |
成分の変化 | カロチンやビタミンが多く残っており、カロチンは紅茶の7倍あり。 玉露や抹茶を作る際に、煮えたぎったお湯を意図的に冷まして使用するのは、うま味やビタミンCなどの成分を壊さないためです。 |
発酵により成分が変化し、ビタミンB1・B2は緑茶の半分、ビタミンCはほとんど含まれていない。 |