コノテガシワ
解説
児手柏 (コノテガシワ、ハリギ、テカシワ、側柏、Chinese
arborvitae Platycladus orientalis)
常緑針葉高木。円錐形で通常高さ5-15m、大きなもので20mにもなるが、庭木としては、60cmから1m程度のものが多く使われている。洋風の庭にことに適している。
中国名は柏、側柏、扁柏。中国、朝鮮を原産地とし、中国から元文年間(1736~1741)に渡来し、明治中期に渡来したニオイヒバと共に広く植栽され、コニフアー・ブームの先駆をなした。植物のほとんどのものは葉に裏表があるが、コノテガシワについてはヒノキに似ているが、枝葉が手のひらを上向きに開いたように伸びるため、表裏の区別がはっきりせず、「フタオモテ」といわれる。
雌雄同株で、3-4月に花をつける。雄花は球形でほとんど柄がなく、雌花は卵円形または長楕円形である。果実(球果)は木質で、卵円形または長楕円形であり、種鱗の先端はとがって、外の方に巻いている。若い果実は青緑色で、不規則な凹凸がある。種子は楕円形で、周囲に翼がないのは、この仲間としては特異である。
葉を適宜採取して、水洗いしてから日干しにする。これを側柏葉と呼んでいる。秋に球果を取り、たたいて種子をはき出させ、種子だけを集めて日干しにする。これを柏子仁と呼んでいる。葉には精油、タンニン、フラボノール類を含み、種子は脂肪を含むほかは、まだ解明されていない。また腸出血、下痢止めに、側柏葉1回5gを、コップ1杯の水で半量になるまで煎じて飲む。強壮に、柏子仁を軽く炒ってからすりつぶし、1日5~12gを3回に分けてそのまま水で飲む。
辺材と心材の境界はあり、辺材は黄白色、心材は黄褐色ないし赤褐色を帯びている。早材から晩材への移行はがなりゆるやかで、年輪はとくに明らかではない。耐朽性が高い。気乾比重は0.57~0.66である。木理は、通直ないしやや不規則、肌目は中庸である。切削加工はしやすく、仕上がりは滑らがである。用途は、彫刻、仏具、家具、建築、棺などがある。
病害では葉枯れ病、虫害ではアブラムシ、カイガラムシ類、ハダニ類、カミキリムシ類による被害がある。
葉
神戸森林植物園のもの
花
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神戸森林植物園 2013年4月28日
幹、樹皮