アカエゾマツ
解説
アカエゾマツ(テシオマツ、ヤチシンコ)
SaghaIin spruce
学名:Picea glehnii 科名:マツ科(pinaceae)
常緑針葉樹。
高さ40m、胸高直径1mにもなる円錐形の自然樹形の美しい高木で、
エゾマツとともに「北海道の木」に選定されている。樹皮は赤褐色で、りん片状にはげる。若枝には赤褐色の毛が密にはえ、葉は線形で、横断面はひし形をしている。
北海道では、アカエゾマツのことをアカマツと呼ぶことがある。樹皮がクロエ
ゾマツとも呼ばれているエゾマツに比較するとずっと赤く、林のなかでもすぐ
それとわかる。アカエゾマツという名前は、樹皮が赤いということで、木材が赤
いということではない。
湿原で生育したアカエゾマツは、極めて生長速度が遅く、そのまま盆栽になる。
一般的にエゾマツとよばれる盆栽は、大半がアカエゾマツであり、数百年の樹齢
を数えるものもある
分布・産地:北海道(渡島を除く)、本州 (岩手県の一部、利尻島、国後島、色丹島、
サハリンなどに分布している。北海道の東部、北部に多く、トドマツ、エゾマツと
混交するが、湿原の周辺や岩礫地に純林をつくることもある。
木材:心材と辺材の色の違いはほとんどない。やや褐色を帯びた白色、あるいは
淡黄白色である。木材の性質はエゾマツによく似ている。
成長が遅く、したがって
年輪幅は一般的に狭く、しかも均一である。軸方向に細胞間道(樹脂道)があるが、
あまり目立たない。気乾比重は0.47~0.53。肌目は精で、木理は通直である。
用途:エゾマツとほとんど同じような用途に使われる。しかし、蓄積が少なくなって
きたため、良質のものは入手しにくくなってきており、利用は主として楽器用材の
ような高価でも使えるような用途に限られるようになっている。
楽器用材としては、
バイオリンやピアノなどの材料としては、エゾマツより高く評価されることが多い。
庭園樹、盆栽にも用いられる
植栽: もともと北海道で、植林用の造林木としての利用が中心であったが、近年洋風、
特に草花と組合わせたイギリス風の庭園に似合うところから、造園樹木として使われる
ようになった。門廻りのシンボルツリーや、庭の主木として植栽する。
高さは3~5m位
で植えられることが多い。生長は遅く、そのため大きくなりがちな針葉樹の中では、
かえって庭木として使いやすい。半日陰を好むセイヨウシャクナゲやグランドカバー、
宿根草などを根元にあしらうと、すっきりと見える。手入れポイントとしては、自然に
樹形が整う上に強い剪定を嫌うので、混みすぎた枝を抜く程度とする。それでも大きく
したくない場合には、毎年出る新芽を半分摘んで成長を抑えるようにする。病虫害として、
チャハマキ、ハダニ類による被害を受けることがある。
葉
北海道大学植物園 2014年9月14日
神戸市立森林植物園 2012年7月8日
大阪市立大学付属植物園 2015年5月3日
幼木の樹形
樹形
北海道大学植物園 2014年9月14日
樹形
大阪市大植物園 2012年4月8日
木目
表皮
大阪市大植物園 2013年8月11日
北海道大学植物園 2014年9月14日
大阪市大植物園 2000年4月9日