アラカシ
解説
学名: Quercus glauca ブナ科コナラ属の常緑広葉樹。
粗樫、イヌガシ、ボウガシとも呼ばれている。
分布は本州の宮城県以南から琉球列島、および済州島、台湾、中国からヒマラヤ、さらに東南アジアなど暖帯に分布。里山などの雑木林に多く見られる。人の手が入った二次林に特に多い。
「カシ」は「カタシ」で「堅い木」の意味で、枝葉も大きく、鋸葉が粗く、かつ材も堅く全体に荒っぽい感じがあるのでこの名がある。「樫」は「堅」と「木」を組み合わせた日本で作られた漢字(国字)。
関西でカシといえば、普通これをさす。シラカシと区別するには葉の裏を見るとわかる。アラカシは毛が生えているのが特徴。また、シラカシに比べて芽だしが早く、春の到来を感じる。
高さ15m、幹の直径60cm、時には高さ20mにもなる。若木の樹皮は灰暗緑色で平滑、裂け目はないが、生長したものは小さな凹凸がある。
葉は長だ円形、中ほどから先に粗いきょ歯がある。長さ7~15cm、表面は光沢があり、裏面には伏毛が密生し灰白色。開花期は4・5月で雌雄異花。葉がのびると同時に咲く。
10月頃やや楕円形のドングリが実る。殻斗は環状である。長さ1.5~2.0cm。
大きな木になると、樹皮の傷口から虫が入り、これにカブトムシやクワガタムシが集まることがあり、クヌギほどではないが、そのような昆虫を見るのによい木である。
病虫害としてうどん粉病.けさび病.すす病などの発生を見ることがある。特にうどん粉病は葉の表面に粉を吹いたような病斑ができ、次第に広がっていく。秋から春にかけ、日陰の葉がかかることが多いが、日向の葉にも発生することもある。
虫害はハマキムシ、サラサヒトリ,カミキリムシ類,オオワラジカイガラムシなどによる被害がある。
植栽用としては樹高2.5m~3mのものが多く生産され.隣家との境、道路際など機能的植栽のほか、アプローチや主庭でも独自の樹形が好まれてよく植栽される。
公園や学校にもよく植栽されている。
植え替えて枝葉を切ってしまっても数年の内に葉が密生してしまう。そのため,防音、防塵用にも良く、工場の緑化にも有効である。
木材は堅硬を利用して建築、車両、舟の櫓、農具、トビの柄、杭打のクッション、クラフトの材料、薪炭材等に使用される。
葉
▲▲ 長居植物園 2023年4月30日
大阪市大植物園 2013年8月11日
実
通勤途中4月
樹形
大阪市立大学附属植物園 2012年4月7日