ツブラジイ
解説
小樵、円椎 ツブラジイ ブナ科シイ属の常緑高木 学名:Castanopsis cuspidata コジイ(小椎)とも呼ばれる
日本(関東地方南部以西から四国、九州)及び朝鮮半島南部に自生している。江戸時代から家の防火用の垣根などに使われ、現代でも屋敷や神社、寺院にその名残を見ることができます。スダジイに比べ小さい。
樹高10~25メートル、直径1.5メートルに達する。樹皮はスダジイに比べると亀裂が少なく平滑な感じがします。葉は互生で、長さ5~10cmの楕円状卵形~披針形です。果実は長さ6~13mmで卵状球形~球形の堅果で食べることができます。アクが少ないので古代から重要な食糧とされ、縄文遺跡からも出土しています。明治、大正生まれの人たちでは椎の実は食用として普通でした。
心辺材の区別はやや不明瞭。心材は黄褐色。辺材は淡黄褐色。木理はやや交錯し、木質は級密であるが、肌目は荒い。気鞋比重は、気乾比重はコジイで0.52、ツブラジイで0.61です。心材の耐久性は小。切削・加工は中。監燥が過当でないと、表面割れ、内部割れ、狂いの出やすい木である。
用途は木肌を生かして床柱、縁板、造作材、薪炭材、しいたけ栽培のほだ木などに利用されます。
万葉集にある有間皇子の歌はこのシイの葉のことを歌っています。
『家にあれば 笥に盛る飯を 草枕
旅にしあれば 椎の葉に盛る』
葉
三重県 2021年5月2日
長居植物園 2022年9月16日
枝
樹皮
長居植物園 2004年11月4日
長居植物園 2022年9月16日
正覚寺のツブラジイ 三重県亀山市阿野田町
観福寺のつぶらしい 愛知県東海市大田町天神下ノ上