メンガリス
解説
代表和名はトワラン(Tualang )、マンギス(Mengaris)、メンガリス(Manggis)などと呼ばれている。
タイ南部,マレー半島,ボルネオ,スマトラ・フィリピン(パラワン島)に生育。
インドネシアの現地名はカユ・ラジャ(Kayu Raja)です。日本にあまり輸入されなかったのはこの木が伐採を免れることが多々あったからと思います。
というのは現地の人はこの木に霊魂が宿っていると思っていて、伐採マネージャーの中国人たちにも信じられていたようだ。フィリピンのダオ(Dao)でも同様に信じられている。現実的には伐採するにはチェンソーを入れる位置が板根(ばんこん・根張り)があるため高くなり、他の木よりも困難であることも関係しているのかも知れない。
常緑樹で非常に大きくなる木で樹高60-84m、樹周6mにも達する。高いため周辺の森から突き出ている。目立つ特徴は写真のような板根である。とにかく広がっている。ボゴール植物園のこの木には特別に解説板があり、「アジアの木の王」とインドネシア語と英語で記載されていて、入園者のインスタ映えする場所になっている。
マメ科特有の小さな葉の樹冠がある通直な木で、枝下高さ10~15mにもなる。
しばしば野生の蜂が巣をつくることがあります、1本の木に300の蜂の巣を作った記録があります。
木材としては辺材は幅7~10cm、灰白色~淡黄色。心材は帯赤褐色で乾燥や時間が経てばカカオ色の褐色に変ります。
製材されたものは木理交錯し柾目材はリボン模様がでます。肌目はやや粗く光沢があります。
特に臭いもなく、重くて堅い、また強い材です。乾燥中に割れや曲がりが出やすい。これは専門的になりますが、材に師部(しぶ、phloem)という特殊な組織が出てくるのが特徴で、これが乾燥する時に木材の部分の収縮と異なるために材の変化が起こるのです。
加工は困難ですが、仕上りは高級材風で、内部用としては耐久力があります。
ただ屋外での耐久性や白蟻には弱いので、ウッドデッキ用で販売している場合もありますが、エクステリアなどで利用するのは誤っています。しかし防腐処理をすれば耐久性はそこそこ出ます。比重はマレーシア産のもので0.72~0.8程度。
以上のことから用途は枕木(保存処理をして)、重構造物、建築材(構造用)、床板材、家具キャビネット、室内装飾、製炭材、またバイオリンの弓にも用いられると記録があります。よく仕上げたテーブルトップは美事なものです。現在ではパレツトの材料にされていることが多いようです。大きな根張り部分は、原住民の奇妙な彫刻をした礼式のテーブルに用いられています。
葉
シンガポール植物園 2008年5月19日
樹形
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ボゴール植物園 2017年10月30日
板根
ボゴール植物園 2017年10月30日
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