アルガンの木、アルガンツリー アカテツ科 学名:Sideroxylon spinosum(syn. Argania spinosa) 英名:Argania 常緑中高木。
アフリカのモロッコなどに希少な樹木として自生しており、ヤギが木に登ったり留まる様子が写真や動画で広く知られています。この木の歴史は非常に古く、約6500万年前から存在しており、250万年前までは北アフリカ全土に広がっていたと考えられています。しかし、気候の変化による砂漠化や人間のかかわりにより、農地開墾や薪としての伐採などにより生息域が減少し、現在はモロッコ南部のサファリ砂漠の西、大西洋沿岸から内陸部にかけて限られた地域(気温が0度~50度と寒暖の差が大きい乾燥地で海抜1500mまでの土地 )で見られるようになりました。
アルガンの木は、乾燥した気候や高温などの過酷な環境に耐性を持ち、樹高は8-10mに達し、時には21mまで成長します。大きい木では主幹が直径1mにも達する事例もあります。特徴的な姿勢は短くねじれた幹と枝に棘があり、樹皮は蛇の皮に似た凹凸を持ちます。根は広く深くまで伸び、地下30mからでも水を得ることができるため、乾燥期にも耐えることができます。
環境に合わせた進化をしてきました。例えば、根は広く、深くまで伸びて、地下30mからでも水を得ることが出来るのは年に数か月ある乾燥期に堪えるため。また乾燥条件で栽培すると芽の成長や葉の数などは減少するが、根の伸びはむしろ深く広く伸びるようになります。このことは土壌の保水効果を高め乾燥を防ぎ、地力を守ることで食料になる穀物、野菜の生産、飼料の確保に繋がることが最近分かってきました。
干ばつが続く場合には葉を落として休眠状態に入ることもあります。樹命は長く、150~200年で、250年生の樹木も記録されています。
葉は小さくて硬く、暗緑色で枝に密集してついています。花期は5-6月で、黄緑色の両性花を咲かせます。果実は長さ2~4cm、直径1.5~3cmで、外側から果皮、果肉、堅果、種子という構造になっています。収穫は主に8~9月に行われ、樹齢35~65年位までの実が栄養成分が最も高いとされています。
実はアルガンの樹の樹齢とその時期が重要になると言われています。。
一番熟した8~9月の収穫が一番いいとされています。また樹齢も樹齢35~65年位までの実が最も栄養成分が高いとのこと。
アルガンオイルは樹の樹齢、収穫時期そして精製法が一体となって管理されているかとうかで品質が決まります。
アルガンオイルは、食用としてクスクスやサラダなどに利用されるだけでなく、化粧品や皮膚の薬としても広く用いられています。しかし、過去半世紀に渡り、アルガンの森は気候の変化による砂漠化や燃料としての乱伐、農地の開墾などによって減少していました。幸いにも、1997年にユネスコによって保護林、国際生物圏保護区として指定され、さらに2014年には「アルガンノキに関する慣習とノウハウ」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。
モロッコ政府や地元のオイル生産協同組合との協力により、伐採の禁止や植林活動が進められ、アルガンの森の保全に取り組まれています。アルガンオイル生産に従事する共同組合の会員数は増加し、約1,000人の女性が働いています。アルガンの木が生育する土地が保護されることで、地域住民の生計を支える重要な資源としての役割が再認識され、地域社会の定住と発展にも寄与しています。
これらの取り組みにより、アルガンの木の持続可能な生産と保全が進められ、この貴重な樹木の生存とその恵みを守るための努力がなされています。アルガンの森の保護は地域の経済的発展にも寄与し、その文化的重要性と生態系への貴重な貢献が強調されています。