2023年、天皇陛下のインドネシア訪問時にボゴール植物園での植樹で有名になりました。テレビでのアナウンスでマラッカジンコウと呼ばれていました。ただ報道の動画を見ると、プレイトが立てられていて 上に「Phohon Gaharu(インドネシア語 香の木の意味)」と記され、2行目に学名のAquilaria beccarianaと記され、その下に「日本のエンペラーによって植えられた」となっています。マラッカジンコウ(Aquilaria malaccensis)もAquilaria beccarianaも同じ仲間の近い関係です。ここではマラッカジンコウの解説をします。
学名: Aquilaria malaccensis 英名: アロエスウッド(Aloeswood)、イエグルウッド(Eaglewood)と呼ばれています。
この属の他の種類のものもガハル・メンカラスとして知られています。インド産の香木、ジンコウ(沈香)と同類に扱われています。
分布はマレー半島、スマトラ島、ボルネオ島の標高800〜1000メートルまでの原生林地区で、フタバガキ科や他の樹木の混合林内に生える常緑樹です。多くの場合、川や小川沿い、尾根上の砂地から粘土質の土壌に生息しています。
時折、高さ30メートル、直径91センチメートルに達する幹は通常、元部に縦溝がありますが、著しい根張りはありません。灰色で滑らかな樹皮を持っています。
健康な木材は白色で柔らかく、軽量で木目が均一であり、伐採時には香気があります。屋内の軽工事やベニヤ、箱作りなどの用途に使用できます。茶箱にも適しており、耐久性があり蟻害にも強いとされています。銀色の内部樹皮は、その強度と耐久性から高く評価されており、ロープや布の製造に使用されます。
この木を有名にしているのは、昔から香木(コウボク)と呼ばれる特別な成分を含んでいるためです。心材が菌に感染すると、非常に芳香のある樹脂を生成し、非常に堅くなります。エッセンシャルオイルやお香の原料として高く評価されており、仏教、ヒンズー教、儒教の儀式でよく使用されます。また、原住民の間ではさまざまな薬品として利用され、特に軟膏や強壮剤として用いられます。
この香木には催淫作用、駆風作用、鎮静作用があります。がん治療や特に甲状腺の治療、腹部疾患、疝痛、下痢、喘息などの症状の治療に使用されることがあります。
しかしながら、数キログラムの病気の木材を収穫するために多くの木が伐採されており、その多くは感染していない木も伐採されています。この種の乱獲は、取引の増加に伴い、この種全体の範囲で問題となっています。
国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種のレッドリスト(2013年版)では、マラッカジンコウは「絶滅危惧Ⅱ類」に分類されています。これは、野生個体数が減少しており、生息地の破壊や乱獲によって生態系全体の安定性が脅かされていることを示しています。