アメリカキササゲ
解説
Catalpa bignonioides Walt. 亜米利加木大角豆 ノウゼンカズラ科 キササゲ属 落葉高木
中国を原産とするキササゲの仲間で、アメリカ南部の原産。1726年にイギリスに移入され、明治時代末期には日本にも渡来し、新宿御苑に最初に植えられました。現在では、多くの学校や公園で広く使用されており、人の生活圏近くの河川敷などでも野生化しています。キササゲよりも多くの花が咲き、色や模様が美しいため、公園や学校によく植えられています。形状がササゲ(豆)に似ている果実で、アメリカ原産であることからアメリカキササゲと名付けられました。
若木は、キリに似た大きな葉を持ち、成長が早く、高さ1メートルほどに達してから花を咲かせるため、成熟も早いです。樹皮は灰褐色で、縦に浅く裂けます。枝は太く横に広がり、葉は対生で、時に輪生して柄があり、長さは10〜25cmです。葉は広卵形で、長さは10〜30cmで、浅く3裂しています。葉の裏には全体に軟毛が生えており、特に脈上に多く見られます。葉柄は長いです。
花期は6月から7月で、キササゲよりも大きい直径4cmほどの白から淡黄色の花を多数咲かせます。キササゲ同様に、花の内側には紫色の斑点がありますが、花の色はキササゲよりも白いのが特徴です。また、独特の香りには鎮静効果があるとされています。
果実の成熟期は9月から10月で、ササゲに似て細長く少し偏平で、長さ20〜30cm、幅6〜10mmで、豆のような実が冬の間ずっと枝先にぶら下がります。実は晩秋に2つに裂け、絹状の毛をつけた多くの種子が飛び出します。種子は非常に発芽率がよく、日本の各地に広く分布するようになりました。
また、キササゲの薬効は古くから知られており、漢方薬や民間薬として用いられてきました。例えば、キササゲの種子は利尿作用があり、腎臓や膀胱の疾患や浮腫の治療に用いられます。また、根や幹の部分は解熱、解毒作用があるとされ、風邪や発熱、中毒症状の改善に使われます。
さらに、キササゲは日本の文化や風習にも深く関わっています。例えば、秋田県ではキササゲに雷が落ちないという特性から「雷除けの木」として、屋敷内によく植えられるとともに、神社仏閣にも植えられることがあります。また、東京新宿御苑に植えられたキササゲは日本初の植栽であることから、「日本最初のキササゲ」としても知られています。
キササゲは、環境に適応性が高く、成長も早いため、広く利用されている植物のひとつです。また、その美しい花や独特の形状から、庭木や公園樹木としてだけでなく、景観樹としても用いられることがあります。
葉
▲▲▲ 長居植物園 2023年4月30日
樹形
長居植物園 2023年4月30日