イロコ
解説
学名 Chlorophora excelsaおよびC.regia科 クワ科(Moraceae) アフリカンチークという商品名がついていて、ナイジェリアン・チークとも呼ばれるが、本来のチーク(Tectona grandis)とは無関係であるので、チークの名は使うことは問題。
一般にはイロコ、lroko、アフリカンチーク、African teak(市場名)、Semei[シエラレオネ]、Odoum[ガーナ]、Rokko[ナイジェリア]、Abang、Mandgi [Cameroons、Gab]、Tule[モサンビック]、 Sili[シエラレオネ.]、Loko[ナイジェリア]、Mvule(東アフリカ)
分布・産地
この木は、アフリカに広く天然に分布しており、西アフリカのシエラレオネから東ヘガーナ、アイボリーコースト、カメルーン、ガボン、アンゴラ、ザイールを経て、東アフリカのタンザニアにまで、 アフリカを横切って分布している。
それぞれの国で重要な木材となっていて、取り分け輸出されているのはナイジェリアおよびウガンダからである。
性質
アフリカから来る木材では最も有用なる材の一つである。気乾比重は0.56~0.75でやや重く、 堅くて強い。
この材は菌および昆虫の害に対し大きな抵抗力をもち、また白蟻に対する抵抗力も高い。非常に耐久力があるが丸太はいくらかピンホール虫に犯される傾向がある。非常に大きな寸法になり、高さ45m以上、直径3m程にも達する。幹は普通円筒状で、ほとんど根張りがない。心材は淡黄褐色から濃いチョコレート色までの幅があり、淡色の細い縞がある。 辺材と心材の色が著しく異り、肌目は中庸~粗、木理は交錯している。表面をこすると油状の感触があり、 放射組織のなかに放射乳菅があるのが特徴である。
材を切断した時、または光線にさらさない時は、 材色は明らかに黄色であるが、日光にさらせは速かに黄金褐色になる。
この木はしばしばストーンと呼ばれる炭酸石灰の塊(ときには人間の拳の大きさにもなる)を 心材に含んでいる事があり、製材、または単板切削の際に刃物を破損する。
また鋸屑が皮膚炎をおこすことも知られており加工上の欠点でもある。 ⇒オドウム 皮膚炎/呼吸器刺激。
大抵の機械工具で十分加工が容易で、手工具でも甚しく困難ではない。
交錯木理が著しいので裂けたりすることがあるが、人工および天然乾燥共に良好、狂いの心配も少ない。
用途
イロコはこの地方では、他の地方的木材よりもよく使われ、内装、屋外の家具、指物、 キャビネット製作、フローリングなどに使用されることで知られている。
また腐朽に高度の抵抗力がある事と、寸法が大きいので船舶、杭、海水中の構造物、 排水溝板等々総ての重構造材に適している。
英国では戦時中に受け入れられ造船材としてチークの代用に使用された。
樹形
▲▲ カンボジア 2007年9月