タマリンド
解説
マメ科タマリンド属の常緑高木、タマリンド属で唯一の種である。 学名:Tamarindus indica
英名Tamarind、中国名:酸豆、答満林度、羅望子。Ampil(カンボジア)、アッサムジャワ(マレイシア)、アッサム、ウィットアッサム(インドネシア)、マカーム(タイ)と呼ばれている。日本ではその実から薬用・食品スパイスなどの業界でチョウセンモダマ(朝鮮藻玉)とも呼ばれてきたた。
熱帯アフリカが原産で、過酷な環境でも生育する強靭な樹種であり、実などが採れる有用樹種のため、昔からインド、東南アジアなどの亜熱帯・熱帯各地で栽培されてきました。生活する住居周辺や道路沿いにも植えられている。
樹高25~20メートル、直径1ートル以上になり大きな樹冠を形成する。
葉は淡緑色の長さ15-20センチの羽状複葉、小葉は10から20片で長楕円形。
蜜源となる花は直径約2.5センチ5弁で径3cm。黄色に橙色または赤色のすじが入る。
実は長さ7~20センチ、幅2センチほどの日本刀のようにソリ、肉厚で不規則に膨らんでいる円筒形の鞘(さや)からなる果実の中に通常3~10個入っている。その周りを黒褐色のペースト状果肉でつつまれている。果肉は食用にされ、独特の酸味が重宝され広く普及されています。
また樹皮、葉、花、若いさやなど、ほとんどの部分が食用、薬用に利用されている。実は酸味料や食品添加物として利用される他、ピクルス、シロップ、ドライフルーツ、砂糖漬け、塩漬け、甘みと酸味を楽しむために生食また清涼飲料水に加工されるなど、驚くほど利用範囲の広い実です。
種子の胚乳部分から抽出して得られたものから、食品添加物としての多糖類を主成分とする増粘安定剤のタマリンドガム(タマリンドシードガム)を製造する。
インド料理ではチャットニーに利用、サーンバールやラッサムの酸味づけに用いる。インドのマクドナルドではタマリンドソースがある。
タイ料理のトムソムやパッタイやフィリピン料理のシニガンの酸味づけにも利用。イラクではドルマの酸味づけにタマリンドを用いることがある。
ベトナムでは料理のカインチュアの酸味づけにも用いる。またクラッシュアイスと煎りピーナツを加えた氷タマリンドやミルク氷タマリンドとして飲む。
ラテンアメリカや東南アジアでは、タマリンドの果肉から清涼飲料水を作る。タマリンドの缶ジュースも市販されている。
東南アジアではジャムやソフトキャンディーに加工したり、砂糖漬け、塩漬けのおやつとしても売られる。
フィリピンでは、マラリアに効能があるとして葉をタマリンド茶として用いる。
成長は遅く年50~80センチほどで、7~8年くらいから実をつけ、15年以降から収穫が安定する。成熟木の豆果収量は150~200kg/個体、約12~16トン/haほどととわれている。50年を超えると収量が安定しなくなるため伐採し木材として利用する。
材は堅く耐久性があり、輪切りにしてまな板などに、ろくろ細工、家具・フローリング材、熱量の高い良質の薪炭に利用される。樹皮は黄色の染料となる。樹木は公園樹や街路樹としても利用される。
葉
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上は葉表面 下は葉裏面タイ・チェンマイ シリキット王妃植物園 2008年10月16日
実
タマリンドの実をそのまま食する カンボジア・シェンムリアップ 2007年9月24日
タマリンドの実 タイ・バンコック 2001年9月12日
タマリンドの実 タイ・バンコック 2008年10月10日
樹形
▲▲ シンガポール植物園 2008年5月19日
刈り込まれた樹形 タイ王宮のタマリンド
タイ・バンコック 2001年9月12日
▲▲ タイ・バンコック 2008年10月10日