学名;Pseudotsuga japonica、漢字表記;栂椹、英名はJapanese Douglasfir。別名や方言では、あかつが【東京】、あかとが【奈良(吉野)】、かわき【三重、和歌山、兵庫(東部)】、奈良(吉野)】、かわきさわら【和歌山】、かわきとが【和歌山(日高・東牟婁)】、ごよーとが【高知(安芸)】、さわら【奈良、紀伊】さわらとが【東京、和歌山】、つがさわら【三重】、まいだ【奈良(吉野)】、まとが【和歌山(古座川)】などがある。
ただ、「かわきとが」に関しては乾燥したところに生えるツガの意と思われます。
名前の由来は樹形、表皮や葉が栂(トガ・ツガ)に似ていて、材は色や木目がサワラに似ているためこの名が付いたとの解説も多いですが、はっきりとはしません。
日本固有の樹種で常緑針葉樹で樹高20~30m。直径60~80cm。まれに樹高40m。直径1.5mに及ぶものもあります。分布が限られ、蓄積が少なく、一般的にはめずらしい木となっています。三重県、奈良県、和歌山県、高知県などの標高500mから1000mの山にツガなどと混ざって生育しています。
環境庁の調査では生育数は約1000本と記録され、IUCNレッドリスト1994年版ランクは絶滅危惧II類 危急(VU)となっていましたが、その後のバージョン( Ver. 3.1 (2001)))で絶滅危惧(EN)により厳しい評価とされています。
雌雄同株で花は4月につく。雄花は楕円形で前年枝の先端に長さ約8mmほどつける。雌花も前年枝の先について、はじめ上を向くが次第に下に向き、成熟時には斜めにつくという。毬果(まつぼっくり)はツガより大きく長さ4cmくらい。
製材した木材は心材と辺材の違があり、前者は黄白色、後者は淡紅褐色で、年輪ははっきりしています。
木理は通直。比重は 0.46~0.50。板材に関する評価は個体差があるのか専門書によっても異なります。例えば、材はやや軽軟、やや重硬、かなり強敵な材とあり、表面仕上がり状態も肌目が粗い、ほぼ普通、中、精と幅が広すぎます。
切削・加工・乾燥は容易です。木材の保存性は高くないが、水中では高いとありました。利用の現場では板材としてはベイマツとは区別しにくいとのこと。
用途としては、産地では建築材、器具村などに使われていましたが、それ以外ではあまり知られていません。古い文献には枕木に利用とあるらしいですが、これは確認できません。木材工業ハンドブックには建築材(床柱、造作材、床廻り材、羽目板材、縁甲板),器具材,家具材,船舶材,土木用材などの記載があります。
木材の物理的性質とレッドリスト
https://wood.co.jp/7-mokuzai/woodstar/jp/wamei-1303.html