カラマツ
解説
マツ科。
マツ科。落葉針葉樹。本州中部で、北は宮城県の蔵王から南は静岡県千頭、 水窪、西は石川県白山に分布している。
高さ30m、直径1mにもなる。幹はまっすぐであるが、ねじれのあるものが多い。別名で、フジマツ・ニッコウマツと呼ばれるように富士山や日光、浅間山、 八ヶ岳などの天然林がよく知られている。火山地帯に多い樹とも言える。人工造林は、北海道、東北地方、本州中部にあり、スギ、ヒノキ、マツ に次いで多く植林されている。また、日本の針葉樹の中で落葉するのは このカラマツだけで、通称名で落葉松とも呼ばれている。(木の構造からイチョウは針葉樹で、その意味ではカラ松とイチョウの2つ が日本の針葉樹で落葉する。)
新芽の緑は春のはじまりを、美しい黄葉は秋の終わりをつげる。
春先のうす緑の新緑、秋の黄葉、晩秋の松葉の雨と四季の移ろいが美しく、詩や歌によく登場する樹でもある。5月、うす緑の新葉が開くのと時を同じくして短い枝に花をつける。雄雌同株であるが少し大きいめの卵形のが雌花で、長さ4㎜ほどの楕円形が雄花である。10月頃になると、枝に向きについた小ぶりの丸い球果が黄褐色に熟する。長さ3㎝前後、直径 2㎝ほどで、赤松・黒松の松ぼっくりほど固くない木質の鱗片が重なりあい、 鱗片のうちがわに種子を抱いている。 小枝には長い枝と短い枝とがあり、 葉は長い枝にはらせん状に互生(互い違いにつく)し、短い枝には20~40個 が叢生(むらがってつくこと)している。2~3㎝と短い針葉で先は鈍く、 やわらかい感じがする。 枝は細かく横にのばし、ひょろりと背が高い 円錐形のシルエットをしている。樹皮は褐色でさけ目ができると、長めの鱗片になってはげ落ち、そのあとは赤味がかっている。材木口(木の横断面) から見ると、年輪がはっきりしているのがよくわかる。材(樹の中心部)は褐色で辺材(樹の周辺部)は白色とその違いがわかる。次に板目(木の縦断面) を見ると、木理がまっすぐだということや肌目があらいとうことがわかる。また、柾目(木の縦断面)で気がついたのは、ところどころにチカチカするものが あり、これは、ヤニ条が現われているものである。全体的にスギやヒノキより色が濃く暗い感じがする。材質は、天然林と人工林とでかなり違いがあり、 針葉樹としては重硬で加工しにくく、仕上がり面も粗くなりやすいようである。乾燥については充分でないと加工した後にヤニが出てきて、塗装むらのようにたれてくることがある。カラマツは耐水性や強度にすぐれており、それを活用して土木用材や土台などの建築用材につかわれることが多い木である。人工林のカラマツは狂いやすく人気がないが、信州などの天然林のカラマツは建築材として好んで使う大工さんもいる。木目が均質で耐水性があるだけでなく、年を経ると樹脂がにじみでて木肌が赤味がかり、風格のある 美しさをたたえるようになる。
葉
▲▲ 北海道大学植物園 2014年9月14日
実
北海道大学植物園 2014年9月14日
樹形
▲▲ 北海道大学植物園 2014年9月14日
三笠通りのカラマツ並木
表皮
カラ松の利用例
下は岐阜県上之保村小学校の木壁画です。横張りしてあるものがカラ松です。