1254.メグスリノキ
解説
メグスリノキ(目薬の木、目薬木)
カエデ科カエデ属。落葉高木。「長者の木」や「千里眼の木」、「ミツバナ」、「ミツバハナ」ともいう。日本固有種であり、青森・秋田の両県を除く本州全域と四国、それと宮崎・鹿児島・沖縄を除く九州に分布する。主に、標高700メートル付近に多くある。名前は戦国時代頃から樹皮を煎じた汁を目薬として使用すると眼病などに効用があるとする民間療法があったことに由来し、学名に日光という日本の地名が入っているのは、江戸時代の終わり頃に世界的植物学者であるロシアのマキシモウィッチが函館に滞在した際、岩手県出身の須川長之助を助手として日本各地の植物採集を行い、その須川長之助が日光でこの植物を採取したことによるものである。高さ10メートルになり、樹皮は灰色がかった中に少し黒っぽい色が混ざり、この樹皮に有効成分のロドデンドロールが含まれている。雌雄異株で、5月から6月にかけて雌花・雄花ともに淡黄色の花を咲かせる。葉は長さ5-13センチ程度で、3枚の小葉からなる複葉であり、小葉は長さ5-12センチメートルの楕円形で、表裏ともに灰褐色の細かい毛が密生し、秋には美しく紅葉する。また、樹皮にはロドデンドロールやエピ・ロードデンドリン、トリテルペン、タンニン、ケルセチン、カテキンなど多くの有効成分が含まれており、眼病の予防・視神経活性化・肝機能の改善などの効果があることが星薬科大学の研究により実証された。近年の実験で肝障害防護効果、アルドース還元酵素活性の阻害作用、メラニン産生抑制効果、抗炎症作用[など多くの効用が証明されているがいまだ十分な検証が行われているとはいえず効用のメカニズムは解明されていない部分も多い。薬用として使用する場合は春から夏にかけて採取した樹皮または小枝を日干しし、1日量15から20gを水300mLで1/3まで煎じて服用する。これには独特のにおいがあり、慣れていない場合は飲みづらいとされる。目薬として用いる場合、3から5gを煎じた汁で洗う。
葉
宇治市植物公園 2012年9月23日
大阪府 花の文化園 2012年8月27日
樹形