キンカン
解説
ミカン科キンカン属 。常緑低木。別名キンキツ(金橘)。「キンカン」はキンカン属植物の総称で、本種の他にマメキンカン(別名:キンズ)、マルキンカン、ナガキンカンなどが日本で栽培されている。キンカンの名は、中国名の金柑を音読みにしたものである。従来、キンカンといえばナガキンカンを指していたが、果樹が小さく、品質がよくないため、現在では観賞用となり、食用などに用いられるのは、マルキンカンである。
マルキンカンは高さ2mになり、中国中南部の湖南・浙江両省の原産で日本へは14世紀ごろ、鎌倉時代末期か、室町時代の初期に渡来したといわれている。暖地に果樹とし栽植している。葉柄に狭い翼がある。夏には数個の小花を開き、芳香を放つ。果実
は長さ2.5-3.5cm、甘酸っぱいが熟すと甘味が多くなり、生で食べることができる。
果実が球形なことからマルキンカンと呼ばれている。10-11月ごろ、橙黄色によく熟した果実を採種し、ジャムやマーマレードにも加工するほか、砂糖漬けや焼酎漬けにして保存する。採種した果実を水で洗い、蒸し器で5分ぐらい蒸し、糸を通して軒先などにつるして乾燥させると干しキンカンになる。また、かぜの初期などに、さかずき1-2杯の果汁を湯のみ茶わんに入れ、さかずき半分ほどのおろしショウガを加え、熱湯を注いで5分後に飲んで寝ると、解熱に効果的である。せき止めには、果実4個とナンテンの実10個をつきくだき、コップ2杯の水で半量に煮つめ、かすを除いて飲む
とよいといわれている。
また、ナガキンカンは果実が楕円形であり、高さは3mぐらいになる。これは江戸時代に渡来したといわれている。細かく枝分かれして、葉が密に茂り、ほとんどトゲがない。葉は細長い楕円形で、先はしだいに細くなり、葉柄には小さな翼がついている。葉の先のほうには、あまりはっきりしない鈍いきょ歯があり、葉脈がはっきりせず、表面はあざやかな緑色であるが、裏面は白緑色で、葉肉の中に小さな油点が多く ついている。
ともに病害は黒点病。虫害ではミカンハダニ、ツノロウムシ、ハマキムシ類のほか、アゲハの幼虫の食害がある。
俳句では秋の季語になっている。
花
通勤途中 2013年6月29日
葉
葉
錦織公園 2023年6月13日