ハルニレ
解説
ニレ科ニレ属。落葉高木。北海道、本州、四国、九州さらにサハリン、朝 鮮、中国などに分布する。高さ20-25m、直径50-60cmになる。大きなものは高さ30m、直径100cmに達する。ハルニレは、アイヌのユーカラ神話では、美しい女神とされていて、それにみとれた雷神が足をすべらせ、その上に落ち、女神は身ごもり、人の祖先であるアイヌラックが生まれたとされている。
また、別名アカダモとも呼ばれ、元来東北地方から入った方言名である。ヤチダモあるいはアオダモの類ではと勘違いしかねないが、まったく関係はない。葉は互生、長さ3-12cm、葉縁に二重きょ歯がある。花は早春に黄緑色の小さい花を葉に先立って古枝の先に咲かせる。翼果は長さ10-16mmの膜質の倒卵形で、種子は翼上部にある。年輪が明瞭な環孔材。心材は暗褐色、辺材は褐色をおびた灰白色である。木理がはっきりしているので、コブや根に近い箇所にはとくに美しい杢が出る。重く硬い。切削・加工はやや困難であるが、曲げに強いので、曲木には適している。耐朽・保存性は高くない。用途として、家具、器具、車輌、単板などがある。淡泊な木材が好まれる場合には、ムクの木材として、また天然木化粧単板の材料としても使われる。
樹形
▲▲ 北海道大学植物園 2014年9月14日
北海道 豊頃町のハルニレ
葉
▲▲ 北海道大学植物園 2014年9月14日
内部を見ることができるのは珍しい。 ▲▲ 北海道大学植物園 2014年9月14日
表皮
▲▲枚 北海道大学植物園 2014年9月14日
大阪市立大学付属植物園 2015年5月3日