キハダ
解説
ミカン科。
落葉高木。その名の通り、黄色い肌を持つ樹。一名ヒロハノキハダ。北海道・東北の方言シコロ。木材関係でもシコロ という。高さ25m、直径1m近くにもなる。樹皮にコルク層が発達し、内皮は 鮮黄色を呈する。
葉は対生し、3-6対の小葉の奇数羽状複葉。北海道から 九州まで、南千島、南樺太、朝鮮半島に分布する。
環孔材。心材は帯緑黄褐色。やや軽軟。家具、ことにクワの模擬材、建築内装、器具、薪炭などに使われる。
樹皮の内側も黄色で、これを使って染料や薬を作る。ベルベリンなどのアルカロイドを含みすこぶる苦く、古くから
胃腸薬として知られている。陀羅尼助、御百草、熊胆などが有名である。
また飛鳥時代からの染料で、布を黄色に染め、あるいは藍との交染で緑色に染めた。
5-7月頃、新しい枝の先に黄緑色の花がたくさん咲き、菜の花のような小さな花が高い枝につくので、あまり目につきません。一つ一つの小花に注目すると、長だ円形のはなびらを5枚持っている。ところで、キハダは雌雄異株ですが、黄緑色の花は雄花で、雌株の方では、10月頃に青黒いぶどうの粒のような丸い実がなる。香りが強く食べると苦いのですがこの実をシコノヘイと言い、駆虫薬として使う。 葉は、枝と対になって左右に出ており枝の先には一枚だけつき、1540㎝位の枝に幼児の手のひら程の卵形で先のとがった葉がついていて、表は濃い緑色でなめらか、裏はうすい緑色で時には白っぽく見える。葉も独特の臭気を持ち、切ると臭気が廻りに漂う。
幹はまっすぐで、成長が早い。
枝は太く上へ伸び広がって傘を開きかけた
ようなシルエットになる。樹皮の外側は灰褐色、網目状に不快溝が縦長に入っている。コルク層(樹の皮と材の間の部分)がぶ厚くなっており、皮の内側ははっきりした黄色で、キハダの大きな特長である。 木口(樹の横断面)から見ると、まず、先ほどのコルク層が一番外側に見え、それから、年輪がはっきりと数えられることとか、心材(樹の中心武)と辺材(その廻り)が見分けられることに気づく。柾目(樹の縦断面)から見ると、木理がほぼ通直で年輪もはっきりしている。肌目は粗いがカンナで削ると光沢が出る。
広葉樹としては軽く軟らかく加工がし易い。
また、クリに次いで水に強い木として用途に広がりを持っており、乾燥の時に狂い易かったり、割れ易い
点もある。
葉
+
樹形
+
木目
▲▲ 大阪市立大学付属植物園 2015年5月3日