ニガキ科ニガキ属 学名:Picrasma quassioides
苦木、漢名苦棟樹、学名のPicrasma(ピクラスマ)はギリシャ語で「苦い」という意味です。北海道から琉球列島、および朝鮮半島、中国(河北省から雲南省)、ヒマラヤの温帯から亜熱帯に分布しています。山野にはえる落葉小高木で、高さは6~15mに達します。和名の苦木(にがき)は、樹皮や茎、葉に強い苦味があることから名付けられました。
若い枝は赤褐色で、細かい点のような皮目があります。芽には紅褐色の細かい毛が密生しています。葉は長さ15~30cmで、互生し、奇数羽状複葉です。小葉は5~6対あり、卵形で先がとがっており、縁には細かい鋸歯があります。
5~6月頃、葉のわきから長い柄を出し、通常数回2分枝を繰り返して、黄緑色の小花を群がりつけます。雌雄異株で、9~10月頃には雌株に楕円形の果実ができ、青色に熟します。
材は器具用として、また健胃薬として利用されます。樹皮がはがれやすい7月頃、根際から切り倒して樹皮を除き、材・木部を日干しにします。これを苦木と呼びます。乾燥しやすくするために、5cmくらいの輪切りにし、さらにいくつかに縦割りにするとよいとされています。この苦木にはクワッシンやニガキラクトンなどの苦味質が含まれており、苦味性の健胃薬として用いられます。木部の代わりに葉を日干しにして粉末とし、これを代用としても使えます。
アイヌ(幌別、沙流、美幌、名寄)の人々は、皮を煎じて胃病、虫下し、しらくも、腫物、毛虱に使用し、樹液を鹿狩りに利用していました。