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- ID:
- 42311
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0806
- 見出し:
- 木材の乾燥:木材の基礎知識5
- 新聞名:
- Tech Note(
- 元UR(アドレス):
- https://www.ipros.jp/technote/basic-wood5/
- 写真:
- 【イラスト】
- 記事
-
前回は、製材や木取りの手法、製材の種類を取り上げました。
今回は、木材の品質管理上の重要なポイントになる乾燥について解説します。
天然乾燥と人工乾燥による仕上がりの違い、JASによる製材の含水率の規格などを学びましょう。
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もくじ
1. 木材乾燥のメカニズムと収縮
2. 木材の乾燥方法
3. 製材品含水率のJAS規格
1. 木材乾燥のメカニズムと収縮
木は含んでいる水分が抜けることによって、収縮します。
製材の場合、この水分量をコントロールすることが寸法精度を高めるために重要なポイントになります。
木材の乾燥のメカニズムと、木目の方向による収縮率の違いを解説します
1:木材の含水率と乾燥のメカニズム
生きている木は、たっぷりと水分を含んでいます。
それが伐採されて丸太や製材品になると、内部の水分が少しずつ蒸発し、乾いていきます。
木に含まれている水分量は、含水率で表します。
含水率は、木そのものの質量に対する水分の割合を示したものです。
例えば、重さ800kgの木に300kgの水分が含ま
れている場合、含水率は300÷(800-300)×100=60%となります。
針葉樹の場合、伐倒直後の含水率は、100%を超えていることが珍しくありません。
特に水分の多いスギは、含水率が200%、つまり木そのものの重さの倍も水分が含まれていることがあります
木には、2種類の水分が含まれています。
細胞の空隙に入っている自由水と、細胞壁に含まれている結合水です。
木が乾く際には、まず自由水が抜けていきます。
自由水が抜けきった状態を、繊維飽和点と呼びます。
この時の含水率は、30%程度です。
その後、結合水が抜け始めると、木は収縮を開始しま
す。
そして外部の温湿度環境と釣り合った状態になると、乾燥・収縮が止まります。
この時を気乾状態といい、日本の一般的な気候下(雨に当たらない場所の場合)では、含水率が15%程度になります。
気乾状態時の含水率を、気乾含水率あるいは平衡含水率といいます
2:乾燥に伴う木材の収縮度合い
木材の乾燥に伴う収縮の度合いは、木目の方向によって異なります(図1)。
年輪に接する方向(接線方向・板目材)、年輪に直角の方向(半径方向・柾目材)、立木時の高さ方向(繊維方向)の順に小さく、その比率は20:10:1程度です。
つまり、半径方向になる柾目材は、接線方向の板目材よりも、収縮率
が半分ほどになります。
この違いが、柾目材の寸法安定性の高さにつながっています(参考:第4回)
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