v11.0
- ID:
- 41944
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0630
- 見出し:
- すぐれた作品はポジティブな作家から生まれる 世界的な彫刻家、小清水漸
- 新聞名:
- 産経ニュース
- 元UR(アドレス):
- https://www.sankei.com/west/news/180628/wst1806280032-n1.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
深遠な世界を見た。
神戸市中央区元町通のギャラリーヤマキファインアート( http://gyfa.co.jp/ )で、小清水漸(こしみず・すすむ)(73)の新作展で、である。
小清水といえば、1960年代末から70年代初めにかけて起きた日本の前衛芸術動向「もの派」を代表する彫刻家だ
ギャラリーに入ると、いきなり木の香りが鼻をくすぐった。
壁面には同じサイズ(58センチ×37センチ)の木製のレリーフ作品が整然と並んでいる。
厚みは6センチ、木は松だ
電動のこぎりで直線の切り込みを入れたものやピラミッドのような立体を規則正しく刻んだもの、あるいは洗濯板のように凹凸をつけたものなど、表面に幾何学模様を刻んだ木製レリーフを1枚1枚見ていくと、木目が景色となっていることもあるのだろう、彫刻というよりは絵画を見ているような気分にさせられる。
壁面をかざる、この計25枚のレリーフは、作家がこのギャラリーのイメージを思い描きながら、それに合わせて作ったといい、その規則性は空間のなかで心地よい調和をつくりだしていた。
この作品「表面から表面へ」は1971年に発表した同名作品をシリーズ展開させたものだ。
最初期の作品は、もっと縦に長い柱のような14本の木で構成されており、そのひとつは英国の国立近現代美術館であるテート・モダンに収蔵されている。
小清水は今回の作品の制作意図を次のように語る。
「(70年代のころは)若かったから勢いと直感で作ったのですが、もう一度、それを整理し直してみようと今回、レリーフ状のものを考えたのです。
最初は彫刻として量感・物質性を意識したのですが、今回はオリジナルのものと厚さ、幅を同じにしながら短くし、物質性を弱めて絵画性を強くしました」
そのタイトルもまた、「表面から表面へ」だ
木の表面は切り刻むことで視覚的に変化していく。
しかし、視覚的に変わったところで、表面は瞬間的に表面としてとらえられる。
表面から表面へのくりかえし…
「生きていく上で、人はさまざまな行為をし、経験を積む。
そうして次から次に自分の前に起こるできごとを体験してゆく。
それをくりかえすのが人生なんです」
「表面から表面へ」は、「人生」そのものを表現したものだったのか…
/dd>