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- ID:
- 41881
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0622
- 見出し:
- 木材の特徴:木材の基礎知識2
- 新聞名:
- Tech Note(テックノート)
- 元UR(アドレス):
- https://www.ipros.jp/technote/basic-wood2/
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
前回は、木材の種類や用途、日本国内の需給動向を紹介しました。
木材は生物材料・自然素材であり、さまざまな優れた特性があります。
今回は、その中でも加工特性と、エコマテリアルとしての素材特性を解説します
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木材は、とても加工しやすい材料です。
金属やコンクリート、プラスチックを加工するためには、特別な機械や大掛かりな設備が必要になります。
それに対して木材の場合、のこぎりやナイフ、のみといった刃物さえあれば、切る、削る、彫るなどの加工が簡単に施せます。
まだのこぎりが発明されていなかった時
代でも、木材は割裂性が高いので、繊維に沿って縦にくさびを打ち込めば、簡単に割ることができ、板材や角材を作ることができました。
現在でも、そうした木材の割裂性の高さを利用した加工技術は受け継がれています。
木に裂け目を入れて手で裂き、薄い板を作るヘギ板作りもその一つです(図1)。
ヘギ板と
は、木材を1mm以下~数mmの薄さに裂いたもので、天井材や壁材などの建材、家具・調度品などに利用されています
図1:ヘギ板の作業工程
また、木材は入手性にも優れています。
もちろん立木を切り倒し、丸太にする作業は危険を伴い、簡単なものではありません。
しかし原油や鉄鉱石を採掘し、プラスチックや鋼材に加工する工程に比べれば、はるかに容易です。
森林地帯であれば、樹木は地上に豊富に生えているので、地下資源のように地
面を深く掘り起こす必要もありません。
前回、われわれの暮らしの中で、いかに木材が多用されているかを紹介しました。
それは木材が身近な資源であり、加工もしやすいという特性を備えているからに他なりません
2. 木材のめり込み特性を生かした接合方法
生物材料である木材は、無数の細胞によって構成され、細胞壁で囲まれた無数の空隙が存在しています。
いわばハチの巣のように、中空のパイプがびっしりと寄せ集まったようなイメージです。
この細胞組織の構成が、木材にさまざまな特性をもたらしています。
その一つに、めり込み特性があります。
木と木を
接合する際に、私たちはくぎを使ったり、接合部を加工し、木と木を組ませて接いだりします。
これらは、木材のめり込み特性を利用したものです
まず、くぎを使う場合を考えてみましょう。
もし木材にめり込み特性がなければ、くぎを打ち込んだ際に、くぎの体積分の広がりをどこかに逃がす必要が生じます。
体積を逃せなかった場合には、その分だけ木材が膨れるか、あるいは広がりに耐えられずに割れてしまうはずです。
もちろん、細くて小さな木材に太
いくぎを打てば、木材は割れてしまいます。
しかし、木材の体積や形状に適したサイズのくぎを打つのであれば、木材は割れることなく、くぎをがっちりと保持します。
これは、木材の内部の空隙がくぎの圧力でひしゃげると同時に、復元しようとする力が働き、くぎをくわえ込むようになるためです
次に、木と木を組む場合です。
異なる方向(一般的には直角)の木材を接合する、伝統的な技法であるホゾ組みを例に考えてみましょう。
ホゾ組みとは、差し込む側の木材の先端を凸状(ホゾ)に加工し(図2)、差し込まれる側の木材にホゾが入る穴(ホゾ穴)を掘り、ホゾをホゾ穴に差し込んで木を接合する方
法です。
この場合、通常はホゾをホゾ穴に対してやや大きめに作って、ホゾ穴に差し込みます。
そうすると、ホゾとホゾ穴の双方がひしゃげ、さらに木の復元力の作用によってがっちりと接合できます
図2のホゾの形状は、短ホゾと呼ばれるものです。
このほかに、はめ込む先の木を貫通させる場合に使用する長ホゾや、交差した材料を貫き通す場合に使用する、ホゾの太さが2段階になっている重ねホゾなどもあります
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