v11.0
- ID:
- 40516
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0121
- 見出し:
- 10歳すてきな「取材要請」
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/CO004339/20180121-OYTAT50000.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
本日の話題提供者は、なんと10歳。
大阪市生野区の小学4年生高橋海翔かいと君から「よみうり新聞社しゃかい部」と書かれたはがきが届きました。
<近所に木でおもちゃを作るおっちゃんがいます。
おもしろいので、ぜひ取材して下さい〉。
500回近い日曜便の中でも、最年少となる男の子の「取材要請」を断るわけにはいきません。
早速、はがきに記された〈おっちゃんの住所〉に行ってきました
住所地は、古い木造住宅の立ち並ぶ一角で、「工房 鯱おるか」という看板の掛かった、これまた古い木造の民家でした
「まあ、あがって」。
笑顔で迎えてくれたのが「おっちゃん」の木工作家、矢倉英夫さん(70)でした
家の中は、木の棒や歯車で動物や人が動くおもちゃがずらりと並んであり、驚きました。
一例に、戌いぬ年にちなんで、犬のおもちゃ=写真=を掲載しましょう。
ハンドルを回すと、しっぽをフリフリする姿が、なんともユーモラスです
「動く木のおもちゃは、一発芸みたいなもので、自分のアイデアで、喜んでもらえるのが魅力ですわ」
そう話す矢倉さんはサラリーマン時代から、木のおもちゃ作りを趣味にし、定年退職後は各地で手作り体験会を開いてきました。
昨春から、空き家となっていた実家、つまり現在の場所をギャラリー兼工房に改装し、近所の高橋君が顔を出すようになったのです
ただ、戦前から立つ古めかしい外観からか、訪ねる人は、好奇心旺盛な高橋君くらい。
「おーい、おるか」と、気軽に訪れてもらおうと命名した工房名が泣いていたそうです
「誰も来なくて寂しいな」とつぶやいた矢倉さんに、高橋君が「取材に来てもろたら?」と新聞社にはがきを送ったのが今回のいきさつでした。
当の高橋君も学校帰りに工房に顔を出してくれました。
冬なのに半袖姿と元気いっぱいで、「トーリョーとは、めっちゃ年離れているけど、同級生みたいに気軽に話せる」
高橋君、はがきでは、矢倉さんを「おっちゃん」と書いてましたが、実際には「棟梁とうりょう」と呼び、尊敬していました。
「棟梁のおもちゃ、仕掛けが色々あって、面白い。
最初、なんで動くのかわからんかった。
今度、作り方、教えてもらうねん」。
うれしそうに話す高橋君に、矢倉さんも、にこやかに応じました。
「次の夏休みの工作は決定やな」
高橋君の優しい思いに、私も「棟梁」を応援したくなりました。
ギャラリーや工房に関心を持たれた方は、矢倉さん(090・4641・9640)まで、どうぞ。
(松永喜代文)
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