v11.0
- ID:
- 43545
- 年:
- 2018
- 月日:
- 1221
- 見出し:
- 清水建設など、木材からのバイオプラスチック原料生産に本腰 研究施設を建設へ
- 新聞名:
- 環境ビジネスオンライン
- 元UR(アドレス):
- https://www.kankyo-business.jp/news/021725.php
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
清水建設(東京都中央区)などは12月17日、島根県の隠岐の島町において、木材からバイオプラスチックの原料となるリグノフェノールを抽出・製造する研究施設の建設に着手すると発表した。
同研究施設の完成は2019年7月の予定
共同事業を行うのは、清水建設のほか藤井基礎設計事務所(島根県松江市)、神鋼環境ソリューション(兵庫県神戸市)、神鋼商事(大阪府大阪市)の4社。
同4社は、同研究施設を活用してリグノフェノールの経済的な製造技術を確立し、2021年にも商用プラントの建設に着手する計画だ
木材からリグノフェノールを分離
リグノフェノールは、バイオプラスチックの原料で、三重大学の舩岡名誉教授が1990年代に開発した新規化学物質だ。
木材はセルロース、ヘミセルロース、リグニンの三大要素で構成される。
この木材を常温下で硫酸を使用して安定化させ、セルロース、ヘミセルロースから分離して得られる物質がリグノフェノ
ールである。
多くのバイオ素材が食料資源を原料とするなか、非可食の木質資源、特に間伐材や端材・樹皮・松枯れ材などの低品位材からも抽出できることが特徴だ
同社は、リグノフェノールの特性を、溶媒によく溶けプラスチックとの相溶性が良く、プラスチックの難燃性や強度向上、部材の軽量化を実現できるとしたうえで、将来的には石油由来のプラスチック原料の代替素材となることを期待している。
また同社は、具体的なリグノフェノールの用途として、熱可塑性プラスチック(自動車、家電、OA機器など使用)、熱硬化性プラスチック(鉄道車両、自動車、電子機器などに用いられる)、フェノール系接着剤、プラスチック発泡材などへの機能性添加剤としての使用などを見込んでいる。
これにより、プラスチック
の難燃性・強度・剛性・加工性などが向上するとして、同社はこれらの分野で市場開拓を推進する考えだ
2015年から共同研究、事業化の可能性調査
藤井基礎設計事務所はいち早くリグノフェノールの有用性に着目し、すでに2013年には基礎的な製造技術を開発していた。
清水建設は、2015年5月にリグノフェノール製造施設の実用化に向けた共同研究について、藤井基礎設計事務所からの申し入れを受け、リグノフェノールの製造販売の事業化の可能性の検討に着手した。
その後、2018年4月に4社で共同研究体制を立ち上げ、これまで製造技術の改良や用途開発を進めてきた。
この結果、リグノフェノールには十分な市場性があると判断し、同年10月に事業化に向けた研究施設建設の意思決定を行った。
同研究施設は、これまでの共同研究の成果を反映したリグノフェノールの小規模製造プラントとして年間1トン程度のリグノフェノールを製造し、価格競争力を備えた商用化製造技術の確立を目指す
/dd>