v11.0
- ID:
- 42626
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0914
- 見出し:
- クリプトンのエーススピーカー第5世代「KX-3Spirit」。
スモークユーカリ採用
- 新聞名:
- AV Watch
- 元UR(アドレス):
- https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1143005.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
クリプトンは、同社の“エースモデル”である、2ウェイ密閉型ブックシェルフスピーカー「KX-3」シリーズの5世代機「KX-3Spirit」を10月下旬に発売する。
価格はペアで385,000円
KX-3Spirit
「KX-3PII」(ペア378,000円)の後継モデル。
“クリプトン三種の神器”とされる「オールアルニコ・マグネット」、「密閉型」、「クルトミューラー製ユニット」のこだわりは維持しながら、進化。
KX-3PIIとKX-3Spiritの大きな違いは、エンクロージャの素材と仕上げ、内部線材、ツイータの3点
密閉型スピーカーのこれまでのラインナップと現在のラインナップ
エンクロージャは、従来モデルは針葉樹系高密度の18mm厚パーチクルボードを使い、ピアノフィニッシュを採用していた。
KX-3Spiritでは、高級家具にも使われる美しさと、音響的にも優れた木目のスモークユーカリを採用。
これを、ピアノ塗装にも使われるポリエステルでコーティングして仕上げている。
スモークユーカリは、コアラが好むユーカリの木材だが、そのまま使うのではなく、酸の槽に漬ける。
これにより木材の中にあるリグニンと酸が反応、色が濃く、やや黒っぽい木材になったものがスモークユーカリと呼ばれている。
オーディオ事業部長の渡邉勝氏が手にしているのがユーカリの木材
右がリグニンと酸を反応させた後のスモークユーカリ
コーティングにもこだわっており、通常のスピーカーではウレタン塗装が使われる場合が多いが、KX-3Spiritではポリエステル塗装を採用。
乾きにくく、塗装が難しいが、高強度になるなど利点があり、ピアノフィニッシュに近い美しさも魅力となる。
スモークユーカリのエンクロージャにポリエステル塗装を施したところ
オーディオ事業部長の渡邉勝氏は、スモークユーカリ+ポリエステル塗装を採用した理由として、ピアノフィニッシュは、専門の業者が大きな手間をかけて行なうもので、国内では職人が少なくなっている現状を説明。
将来的にも作り続けられる素材+仕上げとして、今回のスモークユーカリ+ポリエステル塗装を選
んだという。
「ヨーロッパでは家具などに引っ張りだこの木材で、木目も美しい。
音を聴くと、(人工の素材と違い)自然材の良さが感じられる」という。
ウーファは従来と同じ170mm径、ドイツ・クルトミューラー製のコーン紙を使ったもの。
エッジ部分にブチルゴムを使うことで低域再生能力を高め、低域共振周波数(fo)を35Hzとしている。
ボイスコイルは「MEXCELエッジワイズワイヤー」のロングトラベルボイスコイルを採用している。
ウーファユニット
ツイータは変更。
従来はドーム型だったが、KX-
3Spiritでは35mmのピュアシルク・リング型ツイータを採用。
50kHz以上の再生が可能で、砲弾型イコライザーも搭載。
2層巻ショートトラベルボイスコイル(エッジワイズ無酸素銅線)により、効能率、低歪化している。
全体の再生帯域は40Hz~50kHzで、クロスオーバー周波数は3,500Hz
ピュアシルク・リング型ツイータ
バイアンプ方式にも対応できる、バイワイヤリング接続端子を備えている。
定格入力は50W、最大入力は150W
ターミナルはバイワイヤリング接続対応
どちらのユニットも、磁気回路には磁気抵抗を極小にしたアルニコ・マグネットを使用。
現在では貴重で高価なマグネットだが、こだわって採用を続けており、壷型内磁方式としている。
内部配線も進化。
マグネシウムの芯線に、PC-Triple Cの撚線を巻き付けた構造の線材を使っている。
マグネシウムの芯線は、金属でありながら木と同じような内部損失を備えており、PC-Triple
Cに信号が流れると、ケーブルの振動をマグネシウムが抑える役目をする。
通常のケーブルでは、介在として木綿などを使うが、それらを不要とし、音にも良い影響があるという。
マグネシウムの芯線に、PC-Triple Cの撚線を巻き付けた構造の内部配線材
低域再生や音質向上のため、ミスティックホワイトとウールのハイブリッド吸音材を活用。
理想的な制動特性を追求し、密閉型ならではの、ピュアな低域再生ができるという。
サランネットは透過度の高いものを使っている。
外形寸法は224×319×380mm(幅×奥行き×高さ)、重量は10.8kg
音を聴いてみる
音が出た瞬間、非常に抜けが良く、音場の広がりが広大になり、出てくる音もパワフルに力強く前へと押し出されるようになった事がわかる。
非常に素直な鳴り方をするスピーカーで、“素の音の良さ”を極力阻害しないよう作られているのがわかる。
前モデルのKX-3PIIも、非常に完成度の高いスピーカーだが、KX-3Spiritと比べると少し抑え込まれたようなところがある。
KX-3Spiritはいい意味で元気が良く、開放的なサウンドが楽しめる方向に進化している。
低域は芯があり、サイズを感じさせないドッシリとしたサウンドが楽しめる。
前述のように中高域の抜けの良さ、ストレートさは特筆すべきレベルで、音に撃ち抜かれるような感覚も味わえる。
スモークユーカリのエンクロージャもそうだが、渡邉氏によれば、新たな内部線材とツイータの組み合わせも、このサウンド
に大きく寄与しているそうだ
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