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- ID:
- 41749
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0608
- 見出し:
- 京都産木材使った大型施設続々 需要増も加工に課題
- 新聞名:
- 京都新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.kyoto-np.co.jp/economy/article/20180608000065
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
京都府内産の木材を用いた大型施設が、相次いで建てられている。
京都市伏見区に介護複合施設がオープンしたほか、長岡京市では来春の開業を目指して木造ホテルの建設が進む。
府内産木材の活用を後押しする府の補助金も実績を上げているが、さらなる利用拡大には木材加工場の充実が課題
となる。
総合商社の伊藤屋グループ(京都市下京区)の介護福祉施設運営会社いとうくん(同)は3日、サービス付き高齢者住宅とデイサービス、ショートステイを一体化させた木造の介護複合施設「とうふう苑」を伏見区に開設した。
3階建て延べ約2100平方メートルでツーバイフォー工法を採用。
縦材に約50
立方メートル相当の府内産スギを用いた。
床や壁にも木を多く使い、温かい雰囲気を醸し出している。
同社の伊藤邦夫会長は「府内の木材業の衰退に問題意識を抱いていた。
工期は長くかかったが、いいものができた。
木のぬくもりを入居者に感じてもらいたい」と話す
建築を手掛けたのは、工務店のリヴ(向日市)。
ほかにも、自社ビルや下京区の商業ビルといった大型施設を木造で建てた実績がある。
長岡京市の阪急電鉄長岡天神駅前では、客室数17室の木造ホテルを来春に開業させる計画を進めている。
柱材には約30立方メートルの府内産スギを用いる。
同社大型木造課の市川宣広さんは、木造建築について「同じ大きさの鉄筋コンクリートに比べて重量が3分の2~半分程度と軽いため、基礎を浅く作れる。
耐火性も石こうボードの活用で確保できる」と利点を挙げる。
府は2016年度から、府内で建築される店舗や施設で府内産木材が使われる場合、対象経費の2分の1以内、1千万円を上限に補助金を出している。
断熱や耐震に優れた直交集成板(CLT)の場合は、補助額を加算する。
17年度までの2年間の利用実績は、幼稚園や福祉施設、飲食店、宿泊施設
など計25件。
府林務課は「予算枠をほぼ使い切れている」と手応えを語る。
ただ、府内では、大型施設に使う木材の加工に適した加工場が少なく、ツーバイフォー工法に使う日本農林規格(JAS)の認定を受けた加工場はない。
とうふう苑に用いた府内産木材も、加工は兵庫県の施設で行わざるを得ず、輸送コストがかかったという。
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