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- ID:
- 40032
- 年:
- 2017
- 月日:
- 1117
- 見出し:
- 千葉県産の名木、消滅危機…幹が腐る病害蔓延
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元UR(アドレス):
- http://www.yomiuri.co.jp/eco/20171117-OYT1T50047.html
- 写真:
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- 記事
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千葉県山武地域を中心に生育する同県産名木「サンブスギ」が消滅の危機に直面している。
伝染性の強い病害が蔓延まんえんし、林業離れもあって有効な手立てを打ち出せないでいるためだ。
県は近く、約20年ぶりの被害調査に乗り出す
県森林課によると、サンブスギは250年以上前から県内で生育しているとされる。
耐久性に優れ、幹が真っすぐで太さも一定なため、加工しやすいのが特長だ。
船材や住宅建材などに使用され、高価格で取引されてきた。
1995年度時点では県内のスギ林面積の約2割にあたる約7700ヘクタールをサンブスギが占めていた。
しかし、同年度の県の調査で、このうち5割を超える約4200ヘクタールが「溝腐病みぞぐされびょう」に感染していることが判明した。
溝腐病は幹が腐ってゆがむため、木材としての商品価値が失われる。
県農林総合研究センター森林研究所(山武市)の福島成樹所長は「溝腐病は一度かかると治らない。
伝染性が強く、伐採以外に感染拡大を防ぐ手立てがない」と指摘。
県内のほぼ全域に被害が広がっている可能性があるという。
こうした状況を受け、県は近く、県内約500か所に調査員を派遣し、来年1月までに被害状況を確認する。
県の担当者は「現状を把握し、対策に取り組む」と説明する。
大規模な感染が判明して以降、県は伐採を進めているが、2016年度までの約20年間に伐採できたのは1000ヘクタールほどにとどまる。
背景には、サンブスギの多くが所有者の同意が必要な私有林にあることに加え、林業の担い手不足がある。
15年国勢調査によると、県内の林業就業者は457人で、1985年から約2割減った。
サンブスギの伐採後には、森林の保水機能などを維持するため別品種の植林を行うが、その管理に手間がかかるため所有者に難色を示されるという。
有効な対策が見つからない中、病気にかかったサンブスギに利用価値を見いだそうと、県内では新たな取り組みも始まっている。
松戸市の建具会社は被害木から良質な部分を取り出し、展示会などで行列の整理に使用するポールを開発した。
12月から販売する。
年間販売目標は約1000本で、同社は「名木の良さを少しでも多くの人に知ってほしい」と意気込む
このほか、バイオマス発電の燃料として被害木を利用する動きも出ており、県の担当者は「再生エネルギーとして有効活用したい」と話している。
2017年11月17日 10時49分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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