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- ID:
- 39234
- 年:
- 2017
- 月日:
- 0803
- 見出し:
- 伝統的な酒造り継承へ 剣菱が木製道具作る工場新設
- 新聞名:
- 神戸新聞
- 元UR(アドレス):
- https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201708/0010428996.shtml
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- 記事
-
清酒メーカーの剣菱酒造(神戸市東灘区)は、酒造りに使う道具の新工場を建設する。
金属製が大半を占める中、同社は昔ながらの木製道具を活用しており、高齢の職人も相次いで引退したことから、自社製造に乗り出す。
他の酒造会社にも木製道具を供給し、伝統的な酒造りを継承する。
(綱嶋葉名)
新工場は、神戸・深江浜の瓶詰め工場に隣接する自社用地に建てる。
2階建てで、延べ床面積は約700平方メートル。
約3億5千万円を投じてすでに着工しており、12月の完成を目指す
工場では、酒米を蒸すのに用いる「甑(こしき)」と呼ばれるおけや、酒母を作る工程で酵母を増やすために使う湯たんぽに似た「暖気(だき)だる」を製造。
奉納用の酒だるを縛るわら縄も編む。
これまでわら縄を仕入れていた業者が廃業したため、編み機を譲り受けて自社で作る。
日本酒造組合中央会(東京)によると、清酒の仕込みに使う道具は杉やヒノキ、竹などで作られたが、昭和初期にほうろう製が登場。
その後、耐久性に優れたアルミ、ステンレス製に取って代わった。
一方、木の道具は洗浄などに手間が掛かるものの、品質が安定する利点があるという。
ステンレス製の甑は内部に生じる蒸気で蒸し米がべたつくが、余分な蒸気を吸う木製は蒸し上がりが均一になる。
表面を60度に保つ必要がある暖気だるでは、木製はステンレス製よりも保温性が高く、適温を3時間維持できるという。
醸造を500年以上続ける同社は、清酒の風味を変えないために、多くの工程で木製道具を使ってきた。
しかし、道具を作る職人の引退が相次いでおり、6年前には職人を自社の社員に迎え入れて、別の社員に製作技術を学ばせてきた。
後継者のめどが立ったため、道具工場を建設すると同時に、同業
他社への納入にも踏み切る。
白樫政孝新社長(40)は「昔ながらの道具で酒造りをし、おいしい酒と文化を守っていきたい」と話している
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