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ID:
34731
年:
2016
月日:
0131
見出し:
大木から“音”生み出し快挙 伊賀白鳳高教諭、ドイツの木彫コンペ優勝
新聞名:
毎日新聞
元UR(アドレス):
http://mainichi.jp/articles/20160131/ddl/k24/040/171000c
写真:
【写真】
記事
県立伊賀白鳳高の恵村正大(まさひろ)教諭(60)が昨夏にドイツであった国際木彫シンポジウムのコンペで初優勝した。
今年度末の定年を前にした2回目の海外挑戦で、樹齢約180年の大木を彫り、八分音符を立体化した作品に仕上げた。
一方、現地の被爆70年平和記念式典に招かれ、広島や長崎を イメージした木工作品を寄贈。
「見た人が心豊かになる芸術を作り続けたい」と語る恵村さんにドイツでの体験や平和への思いを聞いた。
【鶴見泰寿】 ◆定年前に再挑戦 優勝作品「音は生きている」と県立伊賀白鳳高の恵村正大教諭=ドイツで2015年8月、本人提供 首都ベルリンの南約350キロにあり、音楽の街として知られるマルクノイキルヘン。
廃材や枯れ木を芸術にすることで自然保護を呼び掛ける国際木彫シンポジウム「フルーア(草原)」が昨年7月20日〜8月1日に開かれた。
1996年に始まり、これまで欧米、アジアなど約170人の彫刻家をコンペに招待して いる。 伊賀市出身で、愛知教育大美術科卒の恵村さんは1978年に伊賀白鳳高の前身の上野工高に赴任。
陸上部部長として駅伝を支える傍ら、創作し、92年と97年、みえ県展で彫刻の最優秀賞を、2002年に最高位の大賞を受賞した。 02年には「海外に挑戦したい」とフルーア・シンポに初出場して2位。
今年度末で定年のため、「必ず優勝する」と再挑戦した。 ◆3メートルの丸太と格闘 丸太を彫って音符の形の優勝作品「音は生きている」に仕上げる恵村正大教諭=ドイツで2015年7月、本人提供 主催者から樹齢180年で、枯れかけて切り倒された赤ナラ(長さ3メートル、直径1・2メートル、重さ6トン)を提供された。
作品テーマは音楽にし、丸太を寝かせ、刃の長さ30センチと60センチの2本のチェーンソーで彫り、「作品を立てた姿をイメージし続けるのに苦労した」と笑う。 花のつぼみにも見える立体的な八分音符と、音合わせに使うU字形の音叉(おんさ)を組み合わせた作品は「音は生きている」と命名。
優勝に「日本では経験できない大きさや質の仕事をすることができた」と喜ぶ ◆原爆の記憶と再生 恵村さんはドイツで40年活動する彫刻家の加藤邦彦さん、画家の温子さん夫妻と交流があり、渡航前、「現地の平和式典に作品を提供してほしい」と頼まれ、日本から材料を送った。 会場は、マルクノイキルヘンの南西約200キロの都市フュルト。
1985年、国際的な平和首長会議(事務局・広島市)に加盟し、毎年、式典を開いている。 恵村正大教諭がフュルト市の被爆70年平和祈念式典で制作した、広島(左)と長崎をイメージした木工作品「記憶と再生」=ドイツで2015年8月、本人提供 恵村さんは、ブナの円形の板(直径1メートル)に350個の角穴を開け、ヒノキの角材(長さ85センチ、幅6ミリ)を差し込み、先端に木製のササの葉をあしらった。
これを二つ作り、一方は中心を白く塗って「広島原爆のオブジェ」に、他方は中心を黒くして「長崎原爆」に仕上げ、二つで「記憶と再生」と名付けた 作品はフュルト市を通じて職業学校に寄贈し、「ドイツ人の平和への強い思いを感じた」と恵村さん。
さらに、原発の事故後、初めて川内原発1号機(鹿児島県)が再稼働するニュースが流れ、「日本人はフクシマから何を学んだのか」と問われ、「もどかしさを感じた」と振り返った。 ◆次回は“生命力” fff:
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