v11.0
- ID:
- 35265
- 年:
- 2016
- 月日:
- 0412
- 見出し:
- 木の名作椅子、デザインの秘密。
|ハンス・J・ウェグナー《ザ・チェア》
- 新聞名:
- カーサ ブルータス
- 元UR(アドレス):
- http://casabrutus.com/design/18278
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
世界各国のデザイナーが手がけた木の名作椅子を紹介する、Casa BRUTUS.com × SHAWOODのコラボレーション企画。
今回は「椅子の中の椅子」とも呼ばれる、ハンス・J・ウェグナー《ザ・チェア》です
床から天井まで続く窓が開放感を作り出すシャーウッド《グラヴィス・ヴィラ》のロフティスペース。
勾配のある切妻屋根の形を生かした、木の安らぎに包まれるような空間に、職人の手によって丹念に作られたウェグナーの名作椅子がよく似合う。
撮影地:シャーウッド〈グラヴィス・ヴィラ〉関東 住まいの夢工場
デンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーの椅子で、最もポピュラーなのは《Yチェア》だろう。
しかし、より名作と呼ぶのにふさわしい一脚といえば、この《ザ・チェア》だ。
“椅子の中の椅子”というニュアンスをもつ名前が表す通り、奇を衒ったところのない素直で純粋なフォルムの中に、優れた木の椅子の
特徴が凝縮されている。
アームレストの先端の磨き抜かれた仕上げや、絶妙の曲面で上半身を支える細い背もたれによって、ウェグナーはこの椅子のすぐれた座り心地を実現した。
一般に、人の体に触れる面積が広ければ広いほど、椅子の快適さは向上していく。
《ザ・チェア》は、そんな法則には当てはまら
ない不思議な一脚と言える。
木の椅子のデザインの名手として20世紀を代表する存在だったウェグナーの真髄が、ここに表現されている。
シンプルにパーツを構成した椅子でありながら、ウェグナーらしさが隅々にまで発揮された《ザ・チェア》は北欧デザインの至宝。
579,000円(仕上げ:アッシュソープ、座面:レザー)。
PPモブラー/スカンジナビアン リビング TEL 03 5789 2885
ハンス・J・ウェグナーは、1914年にデンマークのトゥナーに生まれた。
14歳で家具職人の見習いを始め、17歳で木工家具職人の資格を習得した後も家具作りに励んでいる。
木を扱う技術を体得した彼は、1936年からコペンハーゲンでデザインを学んだ。
卒業後は、当時のデンマークの建築界の新鋭だったア
ルネ・ヤコブセンのもとで、彼の手がけた建物のための家具をデザインする。
北欧に受け継がれる木工技術と、時代を反映したモダンな感性が、そんなキャリアの中でひとつになっていった。
木工職人を対象にした展覧会に彼が《ザ・チェア》を出品し、好評を博したのは1949年。
当時のウェグナーは30代半ばだ
が、この椅子にはすでに熟練の趣さえある。
やがてアメリカのインテリア誌に取り上げられて、《ザ・チェア》は世界的な北欧家具ブームの象徴になっていった。
1960年には、アメリカ大統領選を前にしたテレビ討論会で、候補者だったジョン・F・ケネディもこの椅子に座っている
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