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- ID:
- 46073
- 年:
- 2010
- 月日:
- 0521
- 見出し:
- 「地元産木材で家」広がる輪 林業家、技術者ら共同
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元UR(アドレス):
- http://mainichi.jp/area/shiga/hito/news/20100522ddlk25040545000c.html
- 写真:
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- 記事
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湖国の人たち
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オピニオン’10 宮村太さん /滋賀
◆「安曇川流域・森と家づくりの会」代表・宮村太さん(42)=東近江市
◇「地元産木材で家」広がる輪 林業家、技術者ら共同
安曇川流域で地元木材を使い、地元の技術者が住宅を建てる取り組みを一般社団法人安曇川流域・森と家づくりの会が始めている。
同会は地域の林業家▽製材所▽設計士▽工務店--らで組織し、森林保全や地元経済の活性化を目指している。
会の活動について、宮村太代表に聞いた。
【後藤由
耶】
--会設立の経緯は?
03年に地元の木を使って家を建てたいという県職員の方がいました。
高島市朽木の山でクマによる皮はぎの被害に遭い、急きょ切り出されることになった樹齢約90年のスギを使って家を造りたいという依頼でした。
そこで設計士の私を含む地元の製材所や工務店で建てることになりました。
ここでできた関係者の中で「他にも地域の木を使って家を建てたい人がいるはず。
その輪を広げよう」と声が上がり、04年に会を設立しました。
県職員の住宅は会の第1号プロジェクトになりました。
これまでに13棟が完成し、3棟の
家造りが進行中です
--第1号の出来栄えはどうでしたか?
木のすべてを、家を建てる地点から約15キロ離れた林業家の山から切り出しました。
土台はヒノキで、他はすべてスギを使いました。
住宅建築には約20業種がかかわると言われ、普通は専門ごとの仕事をするだけです。
けれども、今回のプロジェクトでは建築にかかわる林業家▽設計士▽工務店--な
ど、すべてのメンバーで山に足を運び、木の形や大きさを見てどのように活用できるかアイデアを出し合いました。
根元が曲がって普段は使われない木も、梁(はり)や玄関の建具に活用できました。
工法では、金具を極力使わず、昔から大工さんが受け継いできた伝統的な木造建築の技を生かすことにしました。
既に出来上がった木枠を組み立てるハウスメーカーの住宅が増えており、このプロジェクトは技術継承の機会にもなっています
--地元の人が地元の木で家を造る意味は?
地元の木を使うことは、山の手入れをすることになり、山を守ることにつながります。
そして山が水を蓄える力を回復することで下流の治水にも役立つ。
上流の木を下流の地域の住宅建築に使い、森と家がつながることで、流域の環境が守られると考え、この家造りに確信を抱いています。
この取り組みが各流
域単位で広がればと期待しています
--地元産の木材で建てると高いのでは?
木材の調達コストや手作業で加工をするために幾分高いと思われるかもしれません。
坪あたりでは65万~70万円が目安です。
ただ、使われる木がどこの誰が育てたものかが分かり、手間ひま掛けて造るところを見ていただければ納得してもらえるのではないでしょうか。
また、県産材を使った住宅には補助
金もあります
このような家造りの魅力を知ってもらおうと、今月1日に大津市伊香立下在地町にモデルハウスを完成させました。
一度足を運んで、地元の木材で建てた家のぬくもりを感じてもらいたいです
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■提言
◇地元の木、活用して
天然の無垢(むく)の木で建築しています。
性質上、ひび割れや反りが生じますが、その特性を十分に理解すれば快適な住まいが建てられます。
無垢の木は、目で見ても柔らかく、肌触りもいい。
さらに室内の湿度調整もしてくれます。
ぜひ、地元の木をいろいろな場面で活用してほしいですね
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■人物略歴
◇みやむら・ふとし
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