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- ID:
- 46040
- 年:
- 2010
- 月日:
- 0519
- 見出し:
- ツクル、廃材から家具
- 新聞名:
- 北日本放送
- 元UR(アドレス):
- http://www2.knb.ne.jp/news/20100518_24075.htm
- 写真:
- 【写真】
- 記事
-
モノづくりの技術と発想、それに関わる人たちの情熱に迫るシリーズ「ツクル、ミラクル。
」です。
きょう(18日)は「もったいない」という思いからある廃材で家具を作っている職人です。
大正15年創業、南砺市で家具の製造や販売を手がける「樽夢工房」です。
ここで作られるテーブルや椅子には、高級家具材として知られるナラ材が使われているんですが、実はこの木材、ある廃材を再利用したものなんです。
それが大手酒造メーカーから譲り受けたこのウイスキー樽、貯蔵樽として50年ほど使われたあと、薪などの燃料として処分されていたものだといいます。
この樽があの家具になっちゃうんですか?「そうです。
これがですよ、わかんないでしょ」
工藤幸市さん63歳、今から17年前に、このウイスキー樽に出会い、再利用することを考え出した家具職人です。
樽は湾曲した木材を金具でとめているだけ、それでも中のお酒がもれないのは反りや収縮の少ない柾目材が使われているからだといいます。
工藤「これ、悪い木を使うと例えばねじれとか、そりだとか、割れ、そういったもんがでて、中の液体が漏れてしまうんですよ。
これはほんとにまっすぐ一番、柾の中でも一番いいところだけ、魚で言えば、大トロ、オオトロ中の大トロしか使ってませんから」
黒ずんで曲がったこの木材がどうやって家具になっていくかというと、工藤「蒸してるんです、ちょっとあぶないですよ」
樽材を高温のスチームで30分ほど蒸してやわらかくし、圧力を加えて曲がった木をもとに戻していきます。
工藤「(反り返ってますね)ぎゃくぞりになるまで抑えるんですね」工藤「失敗だ、ちょっと蒸気が早すぎた木の乾燥というか、蒸気をかけても、すべてやわらかくはならないんですね、木によって、性格があるから、見ながら、なんども入れたり」
樽材をまっすぐにする製法を生み出すまでに費やした時間は1年以上。
工藤「簡単に出来そうなんだけど、出来ないっていうか、何回もしっぱいして、いろんな方法をやってみたんですけどね」
まっすぐになった木材を乾燥させ、黒ずんだ表面を削って出てきたのが、虎斑と呼ばれる柾目材特有の模様です。
これを最初に見たとき、工藤さん自身が驚いたといいます。
工藤「これが現れたときにびっくりしましたね。
すごい木を使ってあるんだなと思って、それからです。
これはもうなにがなんでも生かそうということで」
役目を終え、大量に燃やされていた洋酒樽が工藤さんの手によってさらなる命が吹き込まれました。
工藤「木が育って150年ほど経って、それからウイスキーの樽として40年50年、それからさらにこういった家具として100年以上いき続けるわけですからね、たいした生命力だと思いますね」
「もったいない精神」から生まれたのは樽家具だけではありません。
これは炭になり損ねた失敗作で作った花瓶です。
その名も、「炭なら~ず」
工藤「笑わないでください。
真剣に考えたんですから」工藤「出会いっていうのはどこにでもだれにでもあると思うんですけども、その出会いをそこで立ち止まるか、とおりすぎるか、それによって運命っていうのは全然変わると思うんですよね」
モノづくりとは・・・「モノづくりの楽しさっていうのはやっぱり、作る楽しさと出来上がったときの喜び、それを見た人たちがまた喜んでくれるっていう、それじゃないかっと思いますね、自己満足だけでも駄目だし、せっかく作ったものをみんなで共有した楽しみになれば尚いいんじゃないかなと思いますけどね」
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