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- ID:
- 46899
- 年:
- 2010
- 月日:
- 0721
- 見出し:
- チェーンソーの達人1時間で丸太を彫刻に…和歌山県田辺市龍神村
- 新聞名:
- スポーツ報知
- 元UR(アドレス):
- http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/serial/health/news/20100721-OHO1T00113.htm
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- 【写真】
- 記事
-
和歌山県田辺市の龍神村は都会からIターンしたアーティストが集う芸術村だ。
多種多彩な芸術家が住み着き、世界へ向けて情報を発信している。
その一人、城所ケイジさん(43)は、チェーンソーで丸太を瞬く間に彫刻作品に変身させるチェーンソーアーティストの第一人者。
日本三美人の湯で知られる山
村の活性化に一役買っている。
静かな山間に丸太を削る豪快な音が響き渡る。
チェーンソーを手にした城所ケイジさんのいで立ちは、まさに人気ホラー映画「13日の金曜日」の殺人鬼ジェイソン風
だが、怖がることはない。
城所さんは心優しい芸術家。
その証拠に、何の変哲もない丸太が1時間あまりで動物や仏像に変身していく。
「図柄はすべて頭の中にあり、夢中になると木がここを削れと教えてくれる」というから驚き。
龍神村の玄関口・JR紀伊田辺駅前や村役場(行政局)のロビーには、重さ5キロ
もあるチェーンソーで削ったとは思えない緻密(ちみつ)で繊細な力作が展示されている。
いまや世界中で称賛される城所さんが、チェーンソーアートに出合ったのは10年前。
東京の大学を卒業後、愛知県内で林業関連の仕事に就き、イベントでチェーンソーアートの実演会を企画したところ、企画した城所さん自身が、その巧みな技とパフォーマンスに魅入られた。
「林業の活性化を模索していた
ので、これだ、と直感しましたね。
地元の木材の需要を促すだけでなく作品も残る。
不用材を活用すれば環境にもいいですからね」
一念発起したのは、退職して日本初のチェーンソーアート事業を立ち上げた直後の6年前。
龍神村が「芸術による村おこし」の一環として龍神国際芸術村(アートセンター=1983年設立)とともに建設していた「アトリエ龍神村の家」(9棟=2003年完成)の存在を知り、柳瀬地区の一棟に移り住んだ。
「1階
がアトリエで2階が住居。
高台にあるので風通しも日当たりも抜群。
大きな音を出しても大丈夫だし、体を動かすので健康にもいい。
何よりここは杉材がたくさんあります」
事業は軌道に乗り、龍神村がすっかりお気に入りの城所さん。
イベントの実演や競技大会への出場で世界中を飛び回っていたが、そうした活躍の場を280人もの弟子に任せつつある。
豊かな自然に囲まれた龍神村での生活が、創作意欲をかきたてるとともに、かつてかかわった農林業問題に再び目を向
けさせるきっかけにもなった。
「以前は世界大会をここで開くのが目標でしたが、いまは環境問題。
子供たちにどこまで安全な土地を残してやれるか、どうしたら若者を村に戻せるか。
龍神村らしいプロジェクトを立ち上げていきたい」。
龍神村で「芸術村構想」が最初に唱えられたのは80年代前半。
その構想は、約30年の歳月を経て、実を
結ぼうとしている。
◆和歌山県龍神村 県の中央部に位置し、山林が70%を占める。
龍神温泉は、島根・湯の川、群馬・川中と並ぶ日本三美人の湯。
特産品は木工品や梅、ユズ、シイタケの加工品。
人口は4071人(6月30日現在)
◆龍神観光協会 TEL0739・78・2222
◆チェーンソーアート・ジャパン TEL0739・78・8105
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