県林業公社は1964年に設立。県や県内18市町村(合併後15市町村)などで構成。森林所有者と契約を結んで造林し、伐採収入を一定比率で分け合う分収造林事業を柱としてきた。これまで約2万4000ヘクター ルを造成し、2000年に新規造林を終了した。
公社事業の財源は国庫補助金のほか、農林漁業金融公庫と県、市町村からの借り入れに頼ってきた。しかし、木材価格低迷などによって当初想定していた収入は得られず、借入額も年々増加。市町村の財政が厳し くなっている状況なども考慮し、県は県有林管理体制と一元化する方針を決めた。
県は、今月中旬に開かれた県議会農林水産常任委員会で一元化後の収支見通しについて説明。現行の二元体制のまま経営を継続した場合、多額の不足額が発生する一方、一元化して事業費削減に努めることに より収支が改善されるとの見通しを示した。伐採までの期間を80年に延ばして大きい木材を生産することで、収入の増加につなげることも計画している。
林業公社解散総会は5月末に開かれる予定。分収造林契約の承継などを経て、07年度中に一元化が完了する見込みだ。
これに伴い、県は公社営林の基金を規定した公営林造成基金条例の制定と現行の県有林事業特別会計条例改正、県有林造成基金条例の改正について2月定例県議会で提案する。
今後の収益見込みは国内木材価格の動向によって左右されるが、伐採は現在から70年以上経過した後となる予定で不透明な要素が残る。
県によると、過去30年の国内木材価格は80年ごろをピークに下落傾向にある。一方、短期的にみると、06年の県内木材流通センターの木材価格動向は外材の値上がりなどに呼応してカラマツを中心に上昇傾向 にある。
県森林保全課の藤沼豊頼特命参事は「一元化して管理体制の見直しと事業費削減に努めることで収支の均衡ができる見通し。できるだけ負担が少なくなるような方向に持っていきたい」としている。