ID : 14291
公開日 : 2009年 12月 8日
タイトル
桐生利根地域でクマの皮はぎ被害 林業直撃
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000000912070003
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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クマによる木の「皮はぎ」被害が全国的に広がる中、県内でも桐生市から利根地域の森林で被害が出ている。皮をはがされた木は商品価値がなくなり、ただでさえ木材価格の下落に苦しむ林家には大きな打撃。
県林業試験場は被害から守るための生態調査に乗り出した。(木下こゆる)
「この木です」と言われた木を見ると、根本から2メートルほどの高さまで皮がはがされていた。幅は3分の1周ほど、厚さは数ミリ。
桐生市梅田町3丁目のスギを中心とした針葉樹林。持ち主の森下美昭さん(67)に、被害にあった木を案内してもらった。「傷の周りの皮がまだ成長せずに薄い。被害を受けたのは数カ月以内でしょう」と森下さん。
皮はぎの跡は20年ほど前から見つかり始め、この10年ほどであちこちで目立つようになったという。被害を受け傷ついた木は、出荷できる可能性はほぼなくなる。森下さんは、「未来の木を思い浮かべながら育ててい
るだけに悔しい」と語る。
なぜクマが皮をはぐのか、実はまだ解明されていない。歯形や足跡から、(1)春先にはぐ(2)母が子グマに教えている(3)うろうろせず「おいしそうな木」に一目散に駆け寄る(4)根元付近をくわえて一気に上に引っ張
り、はいだ皮は食べる、らしい。地域も、県内では桐生から利根南部の赤城山東北面に限られるが、ほかの地域のクマがなぜ皮はぎをしないのかも不明だ。
「謎の行動」に対し、被害地区ではこの数年、幹にビニールなどを巻き付ける対策をしている。やはり皮はぎが見られる山陰や東北で行われている方法で、なぜかクマが嫌がるという。県林業試験場も、木が成長しても
巻き直さなくて済むよう、伸びるバネを使った対策資材を考案。効果の高い形状や設置方法を探っている。
だが、これら資材の値段は500~600円。一方、直径16センチほどのスギ1本の価格は600円強。切り出しや運搬のコストや、資材を1本1本セットする手間を考えると割に合わない。
このため、クマの生態を解明して根本的な対策を考えようと、試験場は今年から、クマを傷付けずに体毛を採取できるワナを設置した。集めた体毛を分析し、特定の個体だけが皮はぎをするのかどうかを調べるという
。来年は発信器を使い、皮はぎの時期や生息地域、ほかに食べているエサなどを調べる予定だ。
皮はぎに関してこのような生態調査をするのは全国でも珍しいが、確実に皮はぎのクセのある個体を捕獲する難しさもつきまとう。
試験場によると、この数十年で木材価格は大幅に下落し、出荷すればするほど赤字になるほどになってしまった。地主の中には出荷をあきらめる人も多く、山は荒れ続けている。
試験場の職員は、「厳しい状態の中でも山を放置せず、少しでも出荷に回そうと努力する林家を被害から守りたい」と語る。
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