ID : 14167
公開日 : 2009年 11月30日
タイトル
【産経抄】京都大学名誉教授の四手井綱英さん
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/091130/trd0911300257001-n1.htm
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写真:
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フォークの名曲「風」の歌詞にもあるように、「プラタナスの枯葉舞う」のは、この季節の風物詩だ。ところが、落ち葉の清掃が大変との理由で、街路樹を落葉樹から常緑樹に変えた自治体があった。
▼26日、97歳で亡くなった京都大学名誉教授の四手井綱英(しでい・つなひで)さんは、こんな話を聞くと黙っていられない。どちらも葉を落とすことには変わりがなく、その時期が違うだけだと、講演や著作で説いた。
林学を志したのは、山好きが高じてのこと。
▼終戦直前、中国で乗っていた列車が米軍の爆撃を受け、死の淵(ふち)をさまよう。生き残ったからには、自分のすべてを研究に捧(ささ)げようと決めたという。昭和29年に母校の京大に戻り、「造林学」の講座を「森
林生態学」に変えた。森林の働きのなかで、木材の生産は一部でしかない、との思いからだ。
▼木々の緑は人々に安らぎを与え、地滑り、洪水を防いで、国土を保全する。炭素を貯蔵する能力が、地球温暖化の抑止に果たす役割も大きい。農山村の暮らしに密着した山林を「里山」と呼び、保全を訴えた。21世
紀の森林づくりのために、言い残しておきたい、との思いは晩年、体の自由がきかなくなっても衰えなかった。
▼著作の編集に当たったのは、四手井さんの山歩きに同行するうちに、キノコ研究家になった淑子夫人だ。森林生態学の勉強を始め、耳の遠い夫との大声でのやりとりで、のどを痛めた。淑子さんは、四手井さんの遺
著『これからの日本の森林づくり』のあとがきで、奮闘の理由にさらりと触れている。
▼若いころ病弱だった淑子さんとの結婚には、周囲の大反対があった。「部屋の隅に咲き損なった花を自分の手で咲かせてみたい」と闘ってくれた夫の願いを放置できなかった、と
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