ID : 13369
公開日 : 2009年 9月29日
タイトル
森守る循環 下支え
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://mytown.asahi.com/yamaguchi/news.php?k_id=36000000909280001
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元urltop:
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写真:
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◆森林づくり県民税 継続検討中
日本人が生活の場や信仰の対象として守り、仰ぎ見てきた山や森。その多様な役割を見つめ直す機運の高まりを受けて、県が05年に導入した「森林づくり県民税」が実施期間の最終年度に入り、継続に向け検討が進
んでいる。森に手を入れ、育ててきた林業が木材価格の低迷や高齢化で苦境に立つなかで、県民誰もが年額500円を負担する制度はどんな意義を持っているのか。
(青山直篤)
◇ ◇
森林づくり県民税は、荒れた森の再生に充てる財源として、県が5年間の期限を定め、05年度分から県民税に上乗せして徴収している。税額は個人が1年に500円、法人は資本金額に応じて1千~4万円で、税収は
5年間で計約20億円に上る見通しだ。
県土の約7割、約44万ヘクタールを占める森林。うち約4割は人が植えた人工林だが、このうち、手入れをしなくなったため倒れやすい細い木しかなくなったり、下草が枯れて表土が流れ出たりして荒廃した林は約3万
ヘクタールに上るという。
「人工林を守るには、植えた木は使うために切り、必ずまた植えるという循環を、何世代にもわたって続けなければいけない」。県内でも数少ない専業の林業従事者として約40年、山の手入れを続けてきた山口市徳
地野谷の戸田岸巌さん(57)は、そう強調する。自身も今のところ後継者はいないが、切って売れるようになるまで四、五十年かかる苗木を植えている。
だが、こうした循環を産業として支えてきた国内林業は安価な輸入外材との競争にさらされ、高齢化による後継者不足にも悩む。08年の県産スギ材価格は1立方メートル当たり1万2300円で、ピークだった75年の
3万2400円に比べると6割も下がった。県内の森林組合の作業班員数も、80年の2546人から07年の508人と激減している。
◆20年で266億円効果
こうしたなか、県は森林税を使って、日光や風が入るように木を切る間伐や、生い茂った竹の伐採などを実施。スギやヒノキの間伐事業では、森林組合の作業班員などが要請のあった山林に入り、08年度までの4年
で1864ヘクタールを整備した。県が人工降雨装置を使った実験結果から森林税の効果を検証し、5月にまとめた報告書によると、計約20億円の税収から、実施期間中の5年間で24億円、その後も含めた20年間で26
6億円もの効果が見込まれるという。
◆間伐し整備 「里も海も恩恵」
「税を払うことで、何のために山を守るのか考えてもらう意味もあるのではないか」と、戸田岸さんは話す。間伐をすることで、幹の太い木や下草が育ち、編み目のように根をはったスポンジ状の保水力のある土壌が
整えられていく。「木を切らないと山が荒れる。山が荒れれば土砂が流れて川が荒れ、海も荒れる」と戸田岸さん。里の暮らしと山の暮らしはつながっているのに、森の循環が途切れ、荒れつつある現状への理解が進んで
いないと考えている。
県の担当者も「土砂崩れ防止や洪水緩和、二酸化炭素の吸収など森林の多様な機能がもたらす恩恵は、誰もが等しく受ける」ことを、森林税ですべての県民に広く薄く負担を求め、行政として「循環」を下支えする理由
に挙げる。
◆「知っている」3割
県の世論調査では、森林税を知っている県民は約3割で推移している。これを多いととるか少ないととるかは評価が分かれるが、県が09年6~7月に実施したアンケートでは個人の84%、企業の80%が「来年度以
降も継続した方がよい」と回答。9月18日、識者や林業関係者らが集まった協議会で、森林整備課の松尾弘治課長は「継続しない方がよい」「分からない」と答えた人については「周知・情報不足がかなり大きな部分を占
めており、きちんと理解を進めたい」と述べた。
協議会では、来年度以降も森林税制度を続け、5年間の期限や税額は維持することで合意。11月に細かな実施事業の見直し案を示した後、来年の2月定例県議会の審議を経て正式に継続が決まる見通しだ。阿武町
で林業に携わってきた木村誠委員は「若い人の森林税の周知率が低い。山が他人事になっていく状況があり、100年先の森を考えるなら一番に子供への教育を進めるべきだ」と強調した。
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