ID : 1271
公開日 : 2006年 7月 2日
タイトル
オケクラフトができるまで
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新聞名
北海道新聞
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元URL.
http://www5.hokkaido-np.co.jp/kyouiku/fumfum/main-2006/0701/
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元urltop:
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写真:
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網走管内置戸(あばしりかんないおけと)町には「オケクラフト」という特産品(とくさんひん)があります。木でできたお皿やスプーンなどの生活用品で、鉄やプラスチックでは味わえない、そぼくな温かさが大き
な魅力(みりょく)です。北見(きたみ)市のフムフム通信員の村田夏菜子(むらたかなこ)さん(北見・北(きた)小四年)が、世界で一つしかない自分だけのバターナイフ作りに挑戦(ちょうせん)しました。《文・貝沢貴子(か
いざわたかこ)、写真・諸橋弘平(もろはしこうへい)》
もの作りの楽しさ実感
やってきたのは置戸町にあるオケクラフトセンター森林工芸館(しんりんこうげいかん)。ここでは、地元の職人(しょくにん)が作った製品(せいひん)を販売(はんばい)しているほか、団体(だんたい)向けの工作教室も
行っています。今回は館長の北山雅俊(きたやままさとし)さんにバターナイフの作り方を教えてもらいました。
まず、工房(こうぼう)を見学しながら、オケクラフトがどのように作られているか、北山館長にお話を聞きました。見せてもらったのは、茶わん作りの現場(げんば)。職人は、台がくるくる回る木工ろくろという機械(きかい
)に木を固定(こてい)し、それに刃物(はもの)をあててけずります。速いスピードでの作業に、村田さんも「ちょっとこわい」とびっくりしたようです。
いよいよバターナイフ作りにちょう戦です。見本の中から自分の好(す)きな形を決めて、それに合う木の板を選(えら)びます。次は型紙(かたがみ)をのりで木に張(は)り付(つ)け、電動糸のこで形を切りぬきます。北
山館長に「刃に指を近づけないように」と注意を受けながら、村田さんもしん重に作業。初(はじ)めての経験(けいけん)できん張(ちょう)し、板を切りすぎてしまうハプニングもありました。
切り取った木は、小刀でさらにけずります。この作業は難(むずか)しかったので、北山館長に助けてもらいました。二種類(しゅるい)の紙ヤスリを使いながら、見本の形に近づけます。時間がかかって、力も要(い)る作
業です。最初(さいしょ)はただの木の板だったのに、次第にバターナイフへと形が変(か)わっていく様子に、村田さんも「だんだんきれいになっていくね」とうれしそうです。最後(さいご)に、よごれがつくのを防(ふせ)ぐ
ために、油をぬって仕上げました。
村田さんが作業している間に、北山館長は切りすぎた板を使って小さなバターナイフも作製。「木だと失敗(しっぱい)しても形を変えてまた使えるんだよ」と北山館長は話していました。ものづくりの楽しさや木のぬくも
りを味わうことのできたひとときでした。
22の工ぼうで製作 使いやすさ、美しさ人気
ぬくもりが伝(つた)わるオケクラフト
森林工芸館がある網走管内置戸町はかつて林業が盛(さか)んでしたが、外国から安い木材(もくざい)が入ったことで、約(やく)二十年前には町の林業にえいきょうが出てきました。町の将来(しょうらい)が心配される
中、北欧(ほくおう)を視察(しさつ)し刺激(しげき)を受けた町民有志(ちょうみんゆうし)が、地元の木材を見直そうと木製遊具作りに取り組み始めました。
その中で参考書(さんこうしょ)としたのが、工業デザイナー秋岡芳夫(あきおかよしお)さん(故人(こじん))の本です。一九八三年、秋岡さんの話を聞いてみたいと置戸で講演(こうえん)会を開きました。講演後に秋岡
さんと有志がこん談、「置戸から生活文化を発信(はっしん)しよう」という秋岡さんの提案(ていあん)から食器(しょっき)などの木製生活用品「オケクラフト」が誕生(たんじょう)しました。
「オケクラフト」は、エゾマツ、トドマツの針葉樹(しんようじゅ)が中心に使われています。中でも、しんの向きがばらばらで加工(かこう)しづらく、それまではまきとしての使い道しかなかった「アテ材」という木材を活用し
ています。アテ材は木目の濃淡(のうたん)がはっきりと出るので、その美しさを生かしてすてきな器(うつわ)が作られているのです。
現在(げんざい)、町内では二十二の工ぼうで、職人(しょくにん)が心をこめてオケクラフトを製作(せいさく)しています。一つ一つが手作りのため、利用(りよう)者の要望(ようぼう)に応(おう)じた加工もできます。使い
やすさと美しさが人気を呼(よ)び、町内だけではなく東京(とうきょう)や大阪(おおさか)など全国で販売されています。
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