ID : 11738
公開日 : 2009年 5月18日
タイトル
林業再生へICタグ使い「かんばん方式」 立ち木担保に資金繰りも支援
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新聞名
フジサンケイ
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元URL.
http://www.business-i.jp/news/venture-page/news/200905190015a.nwc
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元urltop:
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写真:
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林業再生を阻む要因の一つとされる木材の非効率な流通形態にメスを入れ、赤字にあえぐ山林所有者の苦難を、新しい金融手法の活用によって解決しようという初の実証実験が6月から始まる。
山の立ち木それぞれにICタグ(電子荷札)を付けて生育状況や品質の管理、産地証明に生かし、必要なときに必要な量だけを切り出す無駄のない体制に変革。立ち木の段階から換金性の高い“在庫”の形で市場価値を
把握できるようにし、うまく担保融資に使って山主の資金繰り支援にも役立つ仕組みづくりの可能性を探る。
◆東大とJST共同
東京大学生産技術研究所の野城智也教授らのグループと科学技術振興機構(JST)が共同で丸2年かけて取り組む。
埼玉県飯能市で樹齢90~100年のスギ・ヒノキの銘木「西川材」500本にICタグを装着。今秋には千葉県山武市の「サンブスギ」500本でも実施する。タグは耐候性に優れた直径1.6センチのコイン形で1個400円
。専用ホルダーに入れて木の幹に巻き付けておく。
まずGPS(衛星利用測位システム)を使って斜面の立ち木1本ずつの位置を地図上に展開。さらに携帯型の無線データ読み書き装置をタグにかざし、樹種や直径、品質等級、手入れ作業の履歴などの入力情報をデータ
ベース化。生育変化をみながら定期的に更新する。
地図上の1本ずつのデータを基に、注文を受けてから仕様に合った立ち木の切り出し、製材加工、工務店納入に至るまで3カ月以内で完了させ、林業版“かんばん方式”を実現させる。
また、タグの管理データや木材相場に基づく立ち木の在庫価値の変動を常に把握し、いわゆる即時換金が可能な仕組みも検証する。金融機関の協力を得て、不動産担保や保証人に頼らない“動産担保融資”と呼ぶ新た
な資金調達に生かす。
日本の林業は担い手の高齢化と後継者難で荒廃の危機にひんし、木材自給率も2割にとどまる。とりわけ山林所有者から最終消費者に届くまでは、伐採後の丸太を扱う原木市場に始まり製材所、製品問屋、小売業者な
どの中間業者がいくつも介在。それぞれが管理不十分の流通在庫も多く抱え、最終小売価格が高い割に利潤は極端に少ない。
◆外国産材に太刀打ち
例えば1立方メートル当たり最終価格が13万円する一般的なスギ材で、山林所有者の手取りは実に1000円足らずと完全な採算割れに陥っている。複雑な流通経路があだとなって切り出しから入金までに半年~1年
以上を要し、その間の資金繰りも見通しが立たない状況だ。
実証実験の試算では、スギ材の場合の最終価格は10万円台に下がって外国産材と十分に太刀打ちでき、所有者の取り分は採算ラインの2万円まで上昇するという。
研究グループによると「ICタグや読み書き装置は市販品をそのまま使っていて割高な側面もあるうえ、価格自体の下落も進んでいるため、大規模展開した場合はさらにコストダウンも見込める。動産担保融資も金利負
担を上回る収益さえ確保できれば資金繰りに十分機能する」と期待している。
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